東松山市長選、5日告示 新人3氏が出馬へ 三つどもえの戦いか「比企地域の顔」…東松山駅周辺の中心市街地の活性化が課題
任期満了に伴う東松山市長選は5日告示される。いずれも無所属新人で、元県議の松坂喜浩氏(65)、元市議の中島慎一郎氏(40)=自民推薦、市議の鈴木健一氏(58)の3人が出馬の意向を表明している。市の将来像を巡るテーマの一つが東武東上線東松山駅周辺の中心市街地の活性化。市内で70年の歴史を刻んだ丸広百貨店が2024年に閉店するなど、一帯の集客力低下を指摘する声が上がる。「比企地域の顔」といわれる同市の中心市街地。新たなリーダーの手腕が注目される。
■目抜き通りの名称
「陣屋通り」と染め抜かれた藍色の旗が風に翻る。かつて「まるひろ通り」と呼ばれた、駅東口の目抜き通りだ。
旧名称が示すように、道路沿いには丸広百貨店東松山店が営業していた。店舗は建物の老朽化や売り上げ減などから2年前に閉店。商店会が新名称を公募し25年5月、新たに「陣屋通り」の名を付けた。1867~71年に前橋藩の飛び地を管理していた「松山陣屋」にちなんだという。
「東松山に行けば何でもそろうといわれた。小川町などからも買い物客が訪れた」。21店舗が入る東松山陣屋通り商店会の谷嶋紀彦会長(37)は、往時のまちの様子を語る。「近所の人たちは丸広で食料品や日用品を購入していた。丸広がなくなり、人通りも減った」。谷嶋さんは指摘する。
■車社会と高齢化
丸広だけではない。駅周辺では2016年に「イトーヨーカドー」が閉店したほか、ファストフード店や小売店舗などの閉業が相次いだ。
「平成期には、全国の地方都市において郊外への大型店出店が相次ぎ市街地の空洞化が深刻化した」。市の歩みをまとめた「東松山市の歴史」は「東松山市もその例外ではなかった」と伝える。
バブル期に当たる1991年の市内の年間商品販売額(卸売・小売業)は約2154億円だったのに対し、2021年には約1487億円。市内の商業事業所(同)数も1097から699に減少した。経営者の高齢化や後継者不足も背景にあるという。
陣屋通りと北側で接続し、約40店舗が加入する「東松山ぼたん通り商店会」。その100メートル余りの区間では道路の拡幅工事が進められている。陣屋通りと幅員(18メートル)をそろえ、現在は一方通行の状態を片側1車線にする計画だ。同商店会の斉田和宏会長(53)は車社会と市民の高齢化を絡め、こう説く。「高齢者は車で移動することが増える。ちょっと止められる無料の駐車スペースが欲しい」
市商工会によると、16年度以降に商工会を退会した会員は、陣屋通りエリアで10件、ぼたん通りエリアでは25件。同時期の入会はそれぞれ6件と23件だったという。
■ビジョンを共有へ
中心市街地へ、いかに活力を注入するか。その足掛かりとして市が取り組むのが「東松山駅中心市街地プラットフォーム」だ。行政や店舗、金融機関が集まり、まちづくりへの意見を出し合う。市の担当者は「東松山の象徴的存在だった丸広の撤退が、一つの契機となった」とし、広く中心市街地のビジョンを共有していくとの考えを示す。
丸広跡地約8500平方メートルでは、230戸余りを備える地上15階建てマンションやドラッグストアの建設が進む。谷嶋さんは「近くに大型施設ができれば、通りにも人が戻るのではないか」と観測。斉田さんは「道路拡幅工事で影響を受ける店舗を残すとともに、新たな店舗やナショナルチェーンの誘致を」と望む。
市長選と同一日程で、市議の辞職に伴う市議補選(欠員1)も行われる。
6月1日現在の有権者数は7万4846人(男3万7265人、女3万7581人)。
■立候補予定者3氏の主張
松坂喜浩氏…市活性化戦略営業室を開設する。民間と連携し、商店街のイベント開催や店舗誘致を支援する。
中島慎一郎氏…東松山市の顔は駅周辺だ。「エリアプラットフォーム」を強力に進め、社会実験などを行う。
鈴木健一氏…若い人たちの移住者を増やし「買い物公園」のようにして街なかに人を呼ぶ。駐車場も必要だ。











