埼玉新聞

 

埼玉の企業が新開発…次世代光源を実用化 タムロンと大阪大学 肌状態や血流の検査、生鮮食品の糖度や水分、脂質の測定など利用促進

  • 実用化に成功したMIM構造のチップ型メタサーフェス近赤外光源(提供)

    実用化に成功したMIM構造のチップ型メタサーフェス近赤外光源(提供)

  • 実用化に成功したMIM構造のチップ型メタサーフェス近赤外光源(提供)

 総合光学機器メーカーのタムロン(さいたま市見沼区)と大阪大学(大阪府)は共同で、熱に強いチップ型の次世代光源「MIMメタサーフェス近赤外光源」の実用化に世界で初めて成功。大阪府内で3日に開かれた技術フォーラムで一般公開した。

 対象物の成分や状態を非破壊で分析することができる「近赤外光」は、医療など幅広い産業界で注目を集めるが、従来の光源(ランプなど)では不要な波長の光まで放出するため、大幅なエネルギーロスや高熱を発生。熱を逃がすための冷却装置も必要となるため、機器の大型化や重量化が課題だった。また、高い放射強度を得るための高温下では素材の熱膨張差による膜の剥離や原子の相互拡散といった劣化により壊れやすく実用化の障壁となっていた。

 そこでタムロンは、ナノ構造のメタマテリアルやプラズモニクス研究の世界的権威である大阪大学の高原淳一教授と共同で熱による劣化を回避する独自技術を確立。GM(ガラスモールド)レンズ製造などで培った素材選定の知見と熱処理・熱マネジメント技術を応用した。

 「MIM」とは「金属・絶縁体・金属」から成る3層構造のこと。光源チップ(波長選択熱放射体)は光の波長よりも微細な表面構造のため、光や電磁波の性質を自由に変えられるという。そのため、極めて薄型・軽量でありながら、必要な波長を効率よく放出でき、大幅な電力削減と機器の小型化が可能となる。

 タムロンの開発担当者、R&D開発センターの福井俊也さんは「今後は近赤外線にとどまらず、赤外線全域での活用を目指す。対応波長を拡張することで多様なニーズに応えたい」と話す。肌状態や血流検査をはじめ、生鮮食品の糖度や水分、脂質測定、橋梁(きょうりょう)の劣化診断など幅広い分野での利用促進に期待がかかる。

 タムロンは今秋、試用のコマーシャルサンプルの提供を開始する。

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