埼玉新聞

 

【連載】<高校野球>埼玉大会 勝負の鍵DH 打てる投手の起用法 DH不使用の戦略も 暑さ増し選手の体力面が気がかり

  • 投打でチームに貢献する上尾の関谷武志

    投打でチームに貢献する上尾の関谷武志

  • 投打でチームに貢献する上尾の関谷武志

■投手兼打者の起用

 指名打者(DH)制の導入によって、投手は投球に専念できるようになった一方、かつての高校野球のように投手がマウンドと打席の両方で役割を担うチームもある。

 春の県大会8強の上尾では、強打の投手2人が打線の中軸に入る。エース辻岡瑛人、2番手の関谷武志が投手としてそのまま打席に立つ場合もあれば、関谷がDHに入るなど状況に応じてさまざまな起用法を駆使する。

 高野和樹監督は「本音を言えばできるだけ休ませたいが、2人とも打力がある。目の前の試合を勝つために使わなくてはならない」と話す。鷲宮、上尾を夏の県大会準優勝まで導いた名将は、夏を勝ち上がる過酷さを熟知している。それでも2投手の頼もしい打撃は、今夏を戦い抜くピースとして欠かせない。

■DH不使用の戦略

 投手が打撃を行うチームの中でも、投手兼DHとして出場させるか、DHを使用しないかは判断が分かれる。投手兼DHのメリットは、先発投手が降板後も打席に立ち続けられる、いわゆる「大谷ルール」を使用できる点にある。これは先発投手が優れた打者である場合に恩恵が大きい。

 一方、DHを使用しない場合は、一度投手を他の守備位置に就かせて再登板させることができる。先発投手を一度休ませ、勝負どころで再びマウンドに上げるといった変則的な起用が可能になる。

 今春の県大会で市浦和はDHを使用せず、投手2人を他の守備位置に動かしながら戦った。鈴木諭監督は「投手2人は中軸を打つ。再登板も考えられ、今夏はDHがないほうがいい」と戦力に合わせた戦い方を貫く。

■夏に合わせた選択

 夏の暑さが厳しさを増す中、気がかりになるのは選手の体力面だ。特に投手は体力の消耗が激しい。春季大会では投手兼DHを使用した秀明英光の秋山剛一監督は、「春と夏は戦い方が違う。打力は他の選手でカバーしたい」と今大会では投打を分ける意向を語る。

 高校野球にDH制が導入されて以降、初めて迎える夏。選手起用の選択肢が増えたことで、戦術はさらに多様化していく。DHを巡る各チームの選択が、今夏の勝負の鍵を握る。(終わり)

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