激高…会話中の同級生、カッターで男子生徒を切る 学校で恐怖…保健室で「転んだ」と説明、3年後「切られた」と告白 両親が「県教委は自浄作用ない」と言う理由 第三者委の設置を要望 生徒は7針を縫う傷だった
埼玉県立伊奈学園中学校で2022年6月、3年生の男子生徒=当時(14)=が同級生の男子生徒=同=からカッターで切りつけられ右膝を7針縫うけがを負った「傷害事件」で、被害生徒の両親が8日、県知事直轄の第三者調査委員会の設置を求める要請書を提出した。
要請書では、県教育委員会が学校側に事件が発覚した日付を明記しないよう指示するなど不適切な指導をしたことや事件の認知から長期間、文部科学省が定める基本調査を怠っていたことなどを指摘。県教委には自浄作用がないとして、知事介入による独立した第三者委員会の設置を求めている。
同事件は、中学校の昼休み中に発生。被害生徒は、話していた同級生からカッターで右膝を切りつけられ大けがを負った。しかし学校は救急車の要請をせず、警察に届け出も行わなかった。報復されるのを恐れていたという被害生徒が、3年後の25年6月に保護者や教員に話したことから事件が発覚。その後、被害生徒の保護者は警察に被害届を提出し、少年事件として捜査が行われ、加害生徒は家裁に送致されている。
県教委は「いじめ重大事態」としての調査委員会を設置予定だったが、保護者は「いじめによるものではなく、学校重大事故として調査してほしい」と申し入れてきた。
両親は記者会見で「ここまでくるのに1年かかった。子どもは今も心的外傷後ストレス障害(PTSD)のケアが必要。なぜ学校が初動できちんと緊急対応をしてくれなかったのかを明らかにしたい」と話した。
■夜カッターの写真がスマホに届く(以下2月26日配信の初報記事)
2022年6月、伊奈町の県立伊奈学園中学校で、3年生の男子生徒=当時(14)=が同級生の男子生徒(同)からカッターで切りつけられる「傷害事件」が起きていたことが、関係者への取材で明らかになった。県教育委員会は「いじめ重大事態の疑い」があるとして、第三者による調査委員会を設置する方針。一方、被害生徒の保護者は「学校や教育委員会とは別の組織で中立的な第三者委員会」の設置を要望。学校に対しては中高合同の保護者会を開き、事実関係の説明を求めている。
被害生徒によると、22年6月27日、昼休み中に話していた相手生徒がいきなり激高し、ペンケースからカッターを取り出して、右膝を切りつけてきたという。「報復されるのが怖かった」という被害生徒は、保健室に行き養護教諭に「自分で転んで、誰かのバッグから出ていた刃物でけがをした」と説明。応急処置の後、連絡を受けた保護者と共に近くの医療機関を受診し7針を縫った。学校はその時点では傷害事案と把握しなかったため、救急車を呼ばず、警察にも届け出なかった。
昨年6月に行われた三者面談の際に、被害生徒が当時のことを「実は切られた」と告白。保護者も学校も初めて傷害事案を確認したという。その後、被害生徒の保護者が警察に被害届を提出。「少年事件」として捜査が行われ、加害生徒は家裁に送致された。
被害生徒は埼玉新聞の取材に「逃げようとして追いかけられて切られた。その日の夜にカッターの写真がスマートフォンに(加害生徒から)送られてきて、怖くて本当のことが言えなかった」と話す。保護者は「学校が救急対応をしなかったことがおかしい。当事者や教室にいた生徒たちの聞き取りをきちんとしてくれていれば、こんなに長い間苦しませることはなかった」と憤る。
学校によると、担任教諭と養護教諭は「事故」の現場である教室内を見回り、刃物状のものがないかを点検したという。生徒がけがをした場合の救急要請についてはマニュアルがあり、けがの程度に応じて対応することになっていた。小泉学校長は「どうしてそのような判断になったのかは今後の調査でしっかり原因究明する」と回答した。
県教委は今年1月、第三者委員会の設置について文書で通知。3月上旬にも設置するとしており、「被害生徒の3年間のご心労に対して申し訳なく思う。調査態勢を整えて、真摯(しんし)に対応してきたい」と話している。
同中学校は、県内で唯一の県立中高一貫校。03年に県立伊奈学園高校に併設される形で開校した。80人の定員のうち男子生徒は15人程度で、基本的には全員が高校卒業まで6年間を過ごす。










