高さ10メートル以上の土砂…行政処分から3年も撤去進まず 埼玉・熊谷、条例違反の土砂堆積 住民「雨の季節までに解決を」
熊谷市塩で搬入された土砂が10メートル以上の高さに堆積し、市が条例違反として改善命令などを行った問題は、行政処分から3年がたっても解決していない。処分された業者は撤去を目指しているとするが、土砂は積み上がったまま。雨の季節には災害の危険も高まるため、周辺住民は一刻も早い解消を求めている。
市環境推進課などによると、土砂の堆積は当時土地を所有していた深谷市内の男性が2020年10月、市の規制条例に従い堆積を申請。同年11月から2年間にわたって土砂を搬入し、1562平方メートルの面積に最大3千立方メートル、高さ2メートルまで積み上げる計画が許可された。男性は、建設や土木関係の仕事を営む。
ところが計画は守られず、土砂は面積が約4千平方メートル、体積は約1万8千立方メートル、高さが約11メートルに達した。堆積は許可地外まで広がり、市道も埋没。大雨が降ると、土砂を含む泥水が生活道路に流れ込むようになったという。
市は23年4月14日、許可地の改善命令や、許可地外での堆積中止と除去を求める措置・中止命令を実施。期限内に改善されなかったことから、市は24年6月14日、男性に対する許可を取り消した。
同課によると、熊谷署への刑事告発を検討していた25年5月、処分を受けた男性とは別の業者から、土地を引き継いだとの連絡が入ったという。周辺住民によると、同月に重機が到着。搬出するトラックの出入り口整備など、堆積した土砂の整地が秋ごろまで続いた。だが、本格的な運び出しは行われず、同課によると重機は今年1月に再び撤収。以降は動きがない。
登記事項証明書では、男性が持っていた複数区画の土地は24年から今年2月にかけて所有権が移転。複数の県外業者に権利が移っている。取材に、元所有者の男性は「申請した計画を超える量の土砂をダンプ屋が勝手に運び込んだ」と被害者であることを主張。「土砂を撤去できるよう、知り合いに動いてもらっているところ」と説明した。
複数業者のうち、所有権移転の仮登記をした会社が取材にメールで回答。「売り主側で土砂の撤去と造成を含む必要な対応が完了した後、引き渡しを受ける前提で売買契約を締結した」としている。土地の利用目的やほかの業者との関係については、「共同で事業を行う計画はない。用途などの詳細は、回答を控えさせていただく」と記した。
21年7月には、静岡県熱海市で28人が犠牲となる大規模な土石流が発生。不適切な盛り土による人災との指摘もある。災害を契機に国は法改正し、23年5月から盛り土規制法が施行。当時の申請規模では市が許可権者だったが、現在は県に移行している。今後の利用は県が申請先となるものの、市環境推進課は「撤去の意思はあると考え、必要な相談に応じつつ推移を見守っていく」との方針だ。
市が行政代執行で土砂を搬出し、費用の弁済を要求することもできるが、億単位と見込まれる予算措置は難しく、男性にも支払い能力はないとみている。だが、周辺住民は具体的な進展がない状況にいら立つ。付近に住む男性は、「これから雨の季節を迎えるので不安。少しでも早く、何とかして」と訴えた。









