岩槻の悲願へ大きな一歩…「ようやく」「ここから」 埼玉高速鉄道の延伸 さいたま市と埼玉県がSRと鉄道運輸機構に事業実施を要請 地元住民ら喜びや期待
「ようやくここまで」「ここからがスタート」「さらに加速を」―。地元岩槻の長年の悲願と言われる地下鉄7号線(埼玉高速鉄道=SR)延伸が、実現へ大きな一歩を踏み出した。3月31日、さいたま市と県がSRと鉄道建設・運輸施設整備支援機構に対して事業実施要請を行った。2024年1月に市が同要請を見送り、機運がしぼみかけた経緯があるだけに、市が目標に掲げる41年4月の開業へ、地元住民や関係者からは喜びや安堵(あんど)の声とともに、計画の進捗(しんちょく)に期待する声も聞かれた。
初代岩槻区長で、岩槻川通地区自治会連合会の三次宣夫会長(78)は「開業目標などの日程も具体的になってきて『やっとできる』という望みが出てきた」と笑顔を見せた。
三次さんの印象に残っているのが、市が24年1月に事業実施要請の見送りを表明した直後、同連合会役員会での清水勇人市長の姿。相次いだ厳しい声に謝罪しつつ「今回は断念したけれど延伸を諦めていない。私を信じてほしい」と涙ながらに訴えていたという。三次さんは「諦めムードの人もいたが言葉を信じてきて良かった」とうなずいた。
元大宮駅長で、さいたま市地下鉄7号線延伸認可申請事業化実現期成会の筑波伸夫会長(70)は、「非常にうれしい」と喜ぶ。これまで延伸実現へ力と情熱を注いだ先達に敬意を表した上で、「ここがあくまでスタート。この思いが一番大切」と引き締めた。
岩槻地区で空き家再生事業に取り組む会社代表の内野巧也さん(40)は「何十年も前から言われている話で、(実現するのか)半信半疑な気持ちはある」と言いつつ、「期待値は高まっている。さらに加速してほしい」と願う。
一方で、まちのにぎわいの創出に携わる中で考え方に変化も出てきたと明かす内野さん。延伸によって人が流入すると、まちの色や文化、歴史などが薄れる可能性があるとして、「岩槻がどういうまちであってほしいのか思いを育むことで、自分たち事としてまちを盛り上げていけるのではないか」と先を見据えた。
岩槻区の老舗料亭「ほてい家」の若女将(おかみ)、荒木由美子さん(58)も人の流れを大きく変える延伸を歓迎し、「利便性の向上だけでなく、古き良き文化など、岩槻らしさを残しながら地域の活性化につながれば」と期待を寄せる。ただ、今後の社会情勢に応じて概算事業費が増加する懸念も伝えられる中、「前回、盛り上がったところで白紙になった。同じことは繰り返さないでほしい」と要望した。
■安堵感と一抹の不安/旧岩槻市長、佐藤征治郎さいたま市議
旧岩槻市長で延伸推進を唱えてきた佐藤征治郎さいたま市議(86)=岩槻区=は、2005年の旧岩槻市の編入合併を市長として決断。その大きな理由が地下鉄7号線の延伸だった。それだけに、「ようやくここまで来たか」と実感を込め、胸をなで下ろした。
一方、昨今の物価高騰による事業費や採算性の面なども考えると別の思いもあるという。「国が認可してくれるのか。市や県が思い描いているように進んでいくのか。一抹の不安が入り交じっているのが正直なところ」と吐露した。
地元住民の中には鉄道事業者への事業実施要請を受け、すぐに延伸工事が始まると認識している人も多いそうで、佐藤市議は「もうひと山、ふた山ある。今回はあくまでも第一歩なんだよ」と説明しているという。









