やめろ…父死亡、おの2本たたきつけられる 母と長女も死亡、実家に家族で集まる日に 近所の男が襲撃か 長女が先に到着、次女が着く前に襲われる 裁判で明かされた次女の思い「父と会ったのは結婚式が最後」
2022年12月、飯能市の住宅で夫婦と帰省中だった長女の親子3人が殺害された事件で、殺人、非現住建造物等放火、銃刀法違反の罪に問われた、無職の男(43)の裁判員裁判の第2回公判が17日、さいたま地裁(井下田英樹裁判長)で開かれた。検察側の証拠調べが行われ、被告の親族や被害者遺族の供述調書が読み上げられ、目撃者による証人尋問が行われた。
被告の母親や姉の供述調書によると、被告は07年ごろから飯能市の住宅で1人暮らしをするようになり、母親から月9万~11万円の生活費の援助を受けていた。母親や姉は定期的に被告と会っており、事件前の様子について、母親は「精神的に病んでいると思ったことはない」、姉は「健康的に過ごしていたように見えた」などと供述していた。
被害者夫婦の次女の供述調書では、「どこの家族よりも仲が良い」という。毎年クリスマスには家族で過ごす慣習があり、事件当日も家族4人が飯能市の家に集う予定で、姉は一足先に家に着いていた。次女は22年12月に結婚式を挙げており、次女が父親と会うのは結婚式が最後だったという。「父はいつもポジティブで笑顔。母はがんでつらそうだったが、家族のために毎日頑張っていた。姉は誰からも愛される自慢のお姉ちゃん」と振り返っていた。
証人尋問では、事件を目撃した近隣住民の男性が出廷。午前7時ごろ、言い争うような声を聞いて外に出たところ、ハンマーのようなものを振りかざす犯人を発見。男性は「やめろ、やめろ」と何回も叫び、犯人は一度だけ男性の方を見たが犯行を継続し、終始無言だったという。
起訴状などによると、被告は22年12月25日午前7時10分から25分ごろまでの間、飯能市美杉台4丁目の住宅で、米国籍の夫=当時(69)=と妻=同(68)、長女=同(32)=の頭や首などをおので複数回殴打して殺害し、被害者宅に放火したなどとされる。
■どんな事件だった 刑事責任能力を問えると判断(以下2023年12月24日配信、起訴時の記事)
2022年12月、飯能市の住宅敷地内で住民の夫婦と帰省中の長女の計3人が殺害された事件で、さいたま地検は2023年12月21日、殺人や非現住建造物等放火、銃刀法違反の罪で、近所の無職の男(41)=同市美杉台4丁目=をさいたま地裁に起訴した。裁判員裁判で審理される。
地検は男の事件当時の精神状態を調べる鑑定留置を2023年2月13日から2度目の延長を経て、8月4日まで実施。さらに同10日から2度目を始め、1度の延長を挟んで12月15日に終えていた。地検は計10カ月に及んだ鑑定留置の結果、男の刑事責任能力を問えると判断した。
起訴状などによると、2022年12月25日午前7時過ぎ、飯能市美杉台4丁目の住宅敷地内で米国籍の男性=当時(69)=に対し、おの(刃体の長さ約7・5センチ)の刃を頭部などに複数回たたきつけた上、別のおの(同約9・8センチ)で後頸部(けいぶ)などを複数回殴打し、死亡させた。さらに、同おので妻=同(68)=と長女=同(32)=の頸部などを複数回殴って殺害した後、住宅内に灯油をまき、火を放って1階リビング天井などを焼損(面積計約22・8平方メートル)させたなどとされる。
地検は男の認否を明らかにしていないが、8月10日に非現住建造物等放火と銃刀法違反の疑いで追送検された際の県警の調べには、殺人容疑を含め全ての容疑について「やっていない」と否認。捜査関係者によると、鑑定留置終了後の県警の調べに対しても、これまでと同様に容疑を否認していたという。動機に関しても一切語っていない。
男は、昨年1月に男性方に止められていた車などに投石し、傷を付けたとして器物損壊容疑で現行犯逮捕された。男性方では一昨年8~12月にも車や門扉を傷つけられる被害が計6回あり、その後、昨年2月までに同容疑で2度再逮捕されたが、いずれも供述を拒み続け、嫌疑不十分で不起訴となっていた。
事件発生から、間もなく1年。鑑定留置が計10カ月間にわたって実施された後の今回の起訴を受け、男の担当弁護士は「被疑者段階で鑑定留置を2回行うことは担当事件の中では初めて。おそらく全国的にも異例中の異例なのではないか。鑑定書を確認した上で、これからの方針を検討したい」と話している。










