ネット日常化で変容 衆院選 埼玉大名誉教授・松本正生氏に聞く 「SNS社会、中高年にも」
第51回衆院選は「高市カラー」を前面に打ち出した自民党が圧勝し、県内全16小選挙区でも自民の候補者が勝利を収めた。有権者の投票行動について、社会調査研究センター社長の松本正生・埼玉大学名誉教授に話を聞いた。
―衆院選の印象は。
「日常的、短期的に消費されるイベントになった。日本だけの話ではなく、誰が悪いという話でもない。インターネットが日常化し、データやコミュニケーションが瞬時に飛び交うことが一般化した。誰も処方箋を見つけられず、身を守るために周りに合わせるようになった。選挙だけではなく、社会が変わった」
―自民党が大勝した。
「終わった後に、選挙制度の見直しが必要と言われているが、小選挙区制を悪者にする議論には賛成できない。日本には比例代表制があるから多党化する。小選挙区制で三つ以上の政党が立てば、34%の得票で議席を独占できる。全国で同じことが起きれば一党独占が起こる。他の国はいずれかを採用している。アメリカやイギリスは小選挙区制、ヨーロッパは比例代表制。足して2で割っている日本では、マイナス面が増幅された」
―現行の制度は最適か。
「並立制がそもそも中途半端。どちらが正しいというわけではなく、どちらにするかの判断に政治が責任を持つこと。二院制の問題も同じ。アメリカでは下院が国民の代表で上院が州の代表。日本の二院制は両方とも国民の代表。自衛隊や平和条項の前に憲法59条を議論すべきだが、タブー視されている。原理原則を決めないで、よく選挙制度を決められたと思う。並立制の矛盾が噴出しているにもかかわらず、小選挙区制がいけないという議論がまかり通っている」
―選挙における交流サイト(SNS)の影響。
「少し時間はかかるかもしれないが、落ち着くまで待つしかない。今のところわれわれは社会の意思決定のシステムとして、選挙以外のものを持っていない。そこは大事にしなきゃいけない。インターネットではいろいろな現象が起こるけれど、選挙もネット社会の日常に擦り寄ってきたというか、一歩遅れてSNS社会に包み込まれた」
―今後はどうなる。
「選挙妨害やポスター掲示板の問題のように、病的な状況を経験して徐々に和らいでいく。短期的、一時的なイベントとして消費され、飽きられるのも早い。若者を中心としたSNSを取り巻く状況が中高年にも移り、全国的に均質化が見られた。それがある程度進めば、また落ち着く。そのとき選挙について、もう一度考える必要がある」










