「毎日でも食べられるコロッケ」 地元の精肉店で生まれた味 老舗漬物店が受け継ぐ 埼玉・鴻巣 駅直結の商業施設のフードコートに出店 「コロッケが好きだから販売してきた」
鴻巣市民に広く親しまれているソウルフード「こうのすコロッケ」。地元の精肉店で生まれた味を、同じく地元の老舗漬物店「つけしん」が受け継いで提供している。さくさくの衣で、毎日でも食べられるようなシンプルな味付けが特徴。味を継承した、つけしんの4代目野本恵司さん(65)=鴻巣市=は「日常の一部に寄り添える存在でありたい」と笑顔で話した。
つけしんは1890年に漬物専門店として創業。2012年に恵司さんが4代目として事業を引き継いだ。当初は漬物専門店として、本店やさいたま市などの百貨店で漬物を販売していた。1997年ごろ、野本さんの幼少期からコロッケを食べに通っていた、近所の「すみれ精肉店」が店を畳んだことをきっかけに、「思い出の味がなくなってしまうのは寂しい」とコロッケを商工会の仲間と協力して復活させた。その後、つけしんが味を受け継ぎ店で提供するようになった。
こうのすコロッケは「毎日でも食べられるコロッケ」がテーマ。客の要望に応じて揚げたてを提供している。材料のジャガイモや豚肉などは全て国産を使用。一つ一つ手作業で作り、衣がさくさく、中はしっとりの食感で、毎日飽きずに食べられるように素材本来のうまみを感じる素朴な味付けだ。
コロッケのほかに、同店舗で販売されている「スマイルメンチ」も、すみれ精肉店から引き継いだ商品。コロッケ同様、国産の材料を使用し、全て手作業で調理。後味で油が口に残らず、さっぱりしていることが特徴。「すみれをローマ字で組み替えると、スペルは違えどスマイルになるから」と、商品名にもこだわった。
コロッケは1個170円、スマイルメンチは1個200円(いずれも税込み)で提供。「毎日気軽に食べられるコロッケであり続けたい」と、物価高でも値段を抑え、学割で若い世代にも気軽に味わえるように工夫した。
コロッケは百貨店にも出店するほど人気だったが、百貨店人気の衰退の影響で店を畳み、その後も試行錯誤を続けたが、うまくいかなかった。2011年11月、「ここで駄目だったらもう終わりにしよう」と、JR鴻巣駅直結の商業施設「エルミこうのす」のフードコートに出店を決意。当初は「こうのすやつけしん」と書かれた黄色いシンプルな看板でコロッケを販売していたが、より分かりやすくしようと店舗を改装。コロッケの形に「こうのすコロッケ」と記した看板に刷新し、店舗が客の目に留まりやすくなり売り上げも伸びた。
野本さんは、「商売というよりもコロッケが好きだから販売してきた」と顔をほころばせる。漬物屋から始まったつけしんは、今は漬物よりもコロッケの印象が強くなっている。「漬物だけなら今はない。自分のやりたいことを援助してくれた人のおかげで、形を変えながらつけしんののれんがつながっている」と胸を張る。
昨年、つけしんは創業135年を迎えた。200年続けることを目標に掲げ、昨年12月に創業以来初めて家族経営をやめて同じ志を持つ企業に事業を継承した。「コロッケは、これからもお客さんの日常にさりげなくあり続けたい」と力を込めた。
【こうのすコロッケ・こうのすやつけしん】 鴻巣市本町1の1の2。エルミこうのすショッピングモール1階。午前10時~午後9時。定休日はショッピングモールと同じ。問い合わせは、同店(電話048・543・7331)へ。










