埼玉新聞

 

「予想以上の反響に驚き」 埼玉初の大規模コーヒー農園エコファーム 「埼玉をコーヒー産地に」と未経験で始めた農業 真冬も日中25度を下回らない「常夏のハウス」から夢

  • 赤く色づき始めたコーヒーの実

    赤く色づき始めたコーヒーの実

  • コーヒー農園に植えられたバナナの木と東英雄さん=久喜市菖蒲町小林

    コーヒー農園に植えられたバナナの木と東英雄さん=久喜市菖蒲町小林

  • 赤く色づき始めたコーヒーの実
  • コーヒー農園に植えられたバナナの木と東英雄さん=久喜市菖蒲町小林

 久喜市菖蒲町小林で県内初となる大規模コーヒー農園「エコファーム」を経営する東英雄さん(58)は「埼玉をコーヒー産地にしたい」と思い立ち、未経験で農業を始めた。常識破りの挑戦は反響を呼び、新規参入を目指す企業などが視察。トロピカルフルーツが彩る「常夏のハウス」から夢は広がる。

 さいたま市岩槻区でリサイクル会社「エコドラム」を経営する東さんは国産コーヒーの栽培プロジェクトを知り、2024年7月から、約1300平方メートルのハウスでコーヒーの木を栽培している。新たな苗木を購入し、当初の268本から300本に規模を拡大。コーヒーの実は赤く色づき始め、今月中旬から収穫を迎える。

 さまざまなメディアで報じられ、これまで県内外の商社やIT企業など20社が視察に訪れた。「本当に収穫できるのか」「コストはいくらかかる」「病害虫対策は」。実現性に関する質問だけでなく、「会社が反対しても、私はやりたい」と熱意をぶつけてくる人も。このうち5社が栽培に向けて準備を進めており、具体化すれば、苗の仕入れ先の紹介や栽培方法の指導などを支援する予定だ。

 ほかにも、コーヒー豆のバイヤーから「豆を使わせてほしい」、コーヒー店の店員から「エコファームで働きたい」といった問い合わせも寄せられた。「予想以上の反響があって驚いた。それだけ埼玉産コーヒーへの関心が大きいのだと感じた」と東さん。

 ハウス内は温度管理され、真冬も日中25度を下回ることはない。「コーヒーと同じ熱帯の作物が育つかを見極めたい」と敷地の一角でバナナ、マンゴー、ライチ、パイナップルなども栽培している。九州の農家から「農園の規模を縮小したいから、引き取ってほしい」と申し出があり、ドラゴンフルーツも加わった。

 昨年8月から実が付き始めたバナナは通常、緑色の状態で収穫して追熟させるが、黄色の食べ頃になって木から落ちるのを待った。初めて育てたバナナの味は「めちゃくちゃ甘くておいしかった」。当初6本だった木は株分けして30本に増え、今も実を膨らませている。

 25年4月には農業経営の安定化を図るため、近くの畑に600本のサトウキビを植えた。京都でサトウキビを栽培している知人から譲り受けた苗で、将来的には埼玉で新たな加工品の開発も計画している。

 東さんは「農業を始めなかったら、会社の狭い人間関係で完結していた。コーヒー豆の本格的な収穫はこれからだが、いろんな人と知り合い、貴重な経験ができたことは大切な財産」と語った。

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