性的マイノリティーを公表…タレントの俄然風太さん講演 母校で初めて後輩に語る「自分らしく生きて」
自身が性的マイノリティーであると公表し、熊谷市内で飲食店を経営しながらタレント活動を行っている俄然風太さん(44)が18日、熊谷市中曽根の市立大里中学校(新井美保子校長)で講演した。同校は俄然さんの母校で、後輩に向けて語るのは初めて。「有言実行してきたから、今がある。他人の評価に振り回されることなく、自分らしく生きて」と、174人の全校生徒にエールを送った。
俄然さんは4歳の時、ゲイであると自覚したという。大里中2年生の頃、世界屈指のゲイタウンとされる東京・新宿2丁目を特集したテレビ番組を見て、「やっと自分を認められるようになった」と振り返る。県立熊谷商業高校2年生の夏休みに初めて街を訪れ、「この文化を地元に持ち帰りたい」と目標を設定。卒業すると、2丁目で有名店を営むママの自宅に住み込みながら、働きはじめた。
4年半後、22歳の時にママが亡くなり帰郷。24歳で川越市内に店をオープンした。店がテレビ番組で紹介されると、人気が上昇。2011年には、熊谷市内に店を持った。俄然さんは、中学校時代の親友が若くして亡くなった経験にも触れ、「人生は何があるか分からないし、生きているのは当たり前じゃない」と強調。毎日を大切にしながら、行動に移すよう訴えた。
タレントとしては、中学生時代にファンレターを書いた大好きな俳優が監督を務める映画への出演が決定。26年春ごろからは、鴻巣市出身のシンガーソングライターさくまひできさん(54)とユニットを結成し、音楽活動もスタートする予定だという。
店の経営では現在、熊谷市内で7店舗を運営し、約50人のスタッフを抱える。俄然さんは「愛、命、縁と思いの四つを大切に生きていれば、運は自然と開けてくる。『自分なんか』と勝手に決めつけて、可能性をブロックしないで。思う気持ちに限界はないのだから」と呼びかけた。
講演を聴いた2年生の西田愛さん(14)は、「日常は当たり前ではないと気付いた。日々を大切に過ごしたい」と言う。同じく2年生の藤原大星さん(14)は、「俄然さんを尊敬する気持ちが大きくなった。僕も自分らしく生きていく」と誓っていた。









