埼玉新聞

 

NiziUのMAYAが初の絵本「まっしろなちょうちょ」刊行 めまぐるしい変化の中で過ごし悩む人に届けたい

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 ガールズグループ「NiziU」のMAYAは、ダンスパフォーマンスでの表現力の高さはもちろん、グループ結成前のオーディション番組「Nizi Project」でお手製の紙芝居を披露するなど絵を描くのが好きなことでも知られている。

 12月24日に刊行される初の絵本「まっしろなちょうちょ」には、MAYAの思い、そして日常生活で経験した出会いが詰まっているという。(取材・文 共同通信=團奏帆)

 MAYA 2002年4月8日生まれ。Nizi Projectで1万人から選ばれ、NiziUとして2020年にデビュー。同年のプレデビューシングル「Make you happy」は、縄跳びをしているようなキュートなダンスも話題となった。最新アルバム「New Emotion」を11月19日にリリースした。

(1)絵を描いている姿は「自分の中身を全部さらけ出すよう」

 ●記者 クリスマスイブに初の絵本「まっしろなちょうちょ」を発売、おめでとうございます。MAYAさんは幼い頃から絵を描くことが好きだったそうですが、何かきっかけはあったんでしょうか。

 ▼MAYA 子どもの頃、お兄ちゃんが水彩画を習っていたこともあり、家で絵を描くことは当たり前というか、日常の中に絵を描くことが存在していたのがきっかけだと思います。私はその時にはもうダンスを始めていたので、お兄ちゃんのように絵を習うことはありませんでしたが、上手に絵を描くお兄ちゃんを横で見ながら、「こうやって描くんだ!」と学んでいた気がします。

 ●記者 今はどんな時に絵を描くことが多いですか?

 ●MAYA 日常生活の中で、息抜きしたい時。私は何かに集中することがリフレッシュになるので、ちょっともやもやした時にも絵を描いて集中します。絵はiPadで描くことが多いので、いつも大体カバンの中にiPadを入れて持ち歩いています。

 でも、絵を描いているところを見られると、自分の中身を全部さらけ出すような感じがするので、(NiziUの)メンバーがいる前で絵を描くのはちょっと恥ずかしくて…。だからメンバーがいない時、ひとりでいる時に絵を描くことが多いです。

 ●記者 今回の絵本「まっしろなちょうちょ」もiPad、つまりデジタルで描かれたんですか?

 ▼MAYA はい。柔らかい絵が好きなので、最初は色鉛筆で描こうかなと思っていろいろ試してみたのですが、やはり普段描き慣れているデジタルのほうが繊細な部分や自分の描きたいものを表現しやすいのかなぁと思って、今回はデジタルにしました。

 ●記者 自分自身の絵の個性や強みはどんなところだと思いますか。

 ▼MAYA 今回の絵本では原色をあんまり使わないようにしていて、ピンク色も薄くして、全体的に淡い色がメインになっています。そこに、私の性格や内面が出ているんじゃないかな…と思っています。

 ●記者 絵を描くことだけではなく、物語にも幼い頃から親しんで来られたそうですね。何か思い出に残っている絵本はありますか?

 ▼MAYA 小さい頃からよく児童館でいろんな絵本を借りて、ひとりで読んでいました。だから本当にたくさんの絵本が思い出に残っているのですが、特に印象に残っているのは、家にあった「注文の多い料理店」(宮沢賢治)かもしれません。

 私が持っていたのは装丁が黒くて、優しい世界観の他の絵本とは雰囲気から違っていました。中身も、最初に読んだ時は衝撃でちょっと怖かった。でもお母さんが何度も読み聞かせをしてくれたこともあって、とても思い出に残っています。

(2)偶然の出会いを想像の世界に

 ●記者 MAYAさんの絵本「まっしろなちょうちょ」には、人間ではないキャラクターが登場します。まずは「ちょうちょ」。「てんとうむし」に、「すずむし」、「ネコ」。これらのモチーフはどのように決めていったのでしょうか。

 ▼MAYA チョウチョウは元々大好きなモチーフで、きれいな模様の羽やひらひらと舞う様子に憧れがあって。ライブの際などに使うイヤモニ(インイヤーモニター)もチョウの柄なんです。そのぐらい好きだから、せっかく絵本を作るなら絶対にチョウをメインにしたいと思いました。

 他のキャラクターは、偶然の出会いから生まれました。

 秋の夜、スズムシの声が聞こえてきて、その音色がすごくきれいでした。チョウとはまた違う魅力を持った虫ですよね。テントウムシは、散歩中にたまたまお花にとまっているのを見つけて「わ、かわいい!」と、絵本に登場させることにしました。

 ネコは、韓国で会社からジムに通う道でよく見かける黒ネコが元になっています。いつもひとりぼっちで車の下に隠れている子。最初は絵本に愛犬を登場させようかとも思ったんですが、現実世界で自分が関わっているのとはちょっと違った想像上の世界のほうがいい気がして、ネコにしました。

 ●記者 今回、絵本の制作で苦労したことは何かありますか?

 ▼MAYA そうですね…本当に、苦労したところだらけでした! 自分の描いた絵がこうやって形になるということが初めてだったので、とてもうれしい半面、怖かった部分もあって…。皆さんからどういう反響をいただくんだろう、とか、いい作品にできるかな、という不安がありました。でも、本当にたくさんの方からサポートしていただき、(NiziUの)メンバーも横で応援してくれたので、自信を持って最後までやり遂げようと思いました。

 いざ制作していくと、「ここはもうちょっとこうしたい」という、欲じゃないですけど、そういう気持ちがどんどんわき上がってくるのを感じました。

 最初にお話をいただいてから、大体1年間ぐらいの制作期間を今回いただいたんですけれども、その1年間、何をしているときもずっと頭の片隅には絵本がある状態で生活していました。

 そう言うとマイナスに聞こえてしまうかもしれませんが、プラスなこともあって。「こういうことも絵本に取り入れたら面白そうだな」と、どんどん良い案が浮かんできてすごく楽しかったです。

(3)ストーリーに、思いと願い込めて

 ●記者 絵本「まっしろなちょうちょ」には、MAYAさんの頭の中にあった出来事や散歩中の出会いなど、この1年の軌跡が詰まっているんですね。

 ▼MAYA そうかもしれません。

 ●記者 そんなMAYAさんの内面に触れられるような体験ができる絵本ですが、物語は、主人公のまっしろなちょうちょ「ナビ」がいろんなものと出会って自分自身の良さとは何だろうか…と考えるようになっていくというものですね。このストーリーはご自身の経験から生まれたものなんでしょうか。

 ▼MAYA はい。私はNizi Projectに参加してNiziUとしてデビューし、活動してきました。周囲の変化がとても速くて、そこに自分はついて行けるだろうかと不安になったり、時に変化にのみ込まれて自分自身を見失いそうになったり…ということもありました。でもきっとそれって、私だけじゃないと思ったんです。めまぐるしく変わっていく世界の中で、多分皆さん同じような悩みだったり経験だったりをされているんじゃないでしょうか。だから、そこに私の思いや願いを込めて、皆さんに届けることにしました。

 ●記者 絵本を手に取るのを楽しみに待っているファンに、メッセージをお願いします。

 ▼MAYA 本当に私という存在が詰まった絵本です。お子さんから大人まで、幅広い世代の多くの方にぜひ見ていただきたい作品にもなっています。この絵本を読んで、温かい気持ちになってくれたらうれしいなと思います。

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