埼玉新聞

 

点と点つなぐバロック音楽 ピアノ実力派ダビッド・フレイが新作【クレッシェンド!】

  •  ダビッド・フレイ((C)Fran☆(セディラ付きC小文字)ois Berthier)

     ダビッド・フレイ((C)Fran☆(セディラ付きC小文字)ois Berthier)

  •  インタビューに応じるダビッド・フレイ

     インタビューに応じるダビッド・フレイ

  •  ダビッド・フレイ「バロック・アンコールズ」

     ダビッド・フレイ「バロック・アンコールズ」

  •  ダビッド・フレイ((C)Fran☆(セディラ付きC小文字)ois Berthier)
  •  インタビューに応じるダビッド・フレイ
  •  ダビッド・フレイ「バロック・アンコールズ」

 仏実力派ピアニスト、ダビッド・フレイがアルバム「バロック・アンコールズ」をリリースした。新作について「子どもが点と点を結んで絵を描く遊びをするような感覚で、大切な曲を集めてつなげてみました」と語る。

 17、18世紀のバロック音楽の中から、アンコールで演奏されるような小品を選曲。「G線上のアリア」として知られるバッハの「エア」など有名曲から、和音の連打が衝撃的なロワイエの「めまい」というマイナーな曲まで、個性豊かな作品をそろえた。

 パリ国立高等音楽院を首席で卒業し数々のコンクールで入賞。幅広いレパートリーを誇り、美しい弱音が印象的な思索に満ちた演奏で高く評価される。

 「どうやったら自分の演奏を一番良い形で聴いてもらえるか一生懸命考えた」と明かすフレイ。特に今作には、新型コロナ禍中の二つの経験が生かされているという。

 一つは、妻で俳優、演出家のキアラ・ムーティと共演した演劇パフォーマンス。フランス革命直前の王朝が舞台の物語で、今作にも収録した同時代の楽曲を演奏した。「1曲ごとにストーリーがある。でもアルバムでは自由に想像してほしい」

 もう一つは、世界的な振付家ジョン・ノイマイヤーとの出会い。2020年の作品「ゴースト・ライト」で演奏を担ったのだ。それまでダンスを重要視していなかったが「僕が演奏してきたバッハの組曲などは多くが舞曲。演奏家もダンスを知れば、もっと良い音楽を感じられる」と気付いた。

 「弾きたい曲があるときは、まず歌ってみることが大事」とフレイ。「ぜひ興味を持って今作を聴いてほしい。点と点をつなぐうちに、僕のポートレートが浮かぶかもしれません」

    ×   ×

 「クレッシェンド!」は、若手実力派ピアニストが次々と登場して活気づく日本のクラシック音楽界を中心に、ピアノの魅力を伝える共同通信の特集企画です。

ツイート シェア シェア