相次ぐクマの目撃情報…ドローン活用し調査 埼玉・秩父と横瀬 赤外線カメラなどで山間を撮影
今年、クマの目撃情報が相次いでいる秩父市と横瀬町で15日、ドローンを獣害対策などに活用した実証実験が行われた。両市町は民間企業とそれぞれ連携し、小学校の下校時間やクマの活動が活発になる日没に合わせてドローンを飛行。搭載した赤外線カメラなどで山間を撮影し、クマの出没確認を行ったほか、山林火災や土砂崩れなどの災害発生時の状況を監視して、住民らの安全確保へつながる仕組み作りを検証した。
秩父市はKDDIスマートドローン(東京都千代田区)と連携したデモンストレーションを実施。市荒川総合支所(同市荒川上田野)屋上に自動離着陸・充電が可能な同社のドローンポト「Skydio dоck fоrX10」を設置し、小学校児童が下校する午後3時ごろに、中型ドローンを遠隔でポートから離陸させた。
同機体に備わる最大128倍のデジタルズームや赤外線カメラ機能を活用し、近隣小学校児童の下校見守りや、山林内でのクマ出没、不審者による不法投棄、火災発生時の出火点の特定、豪雨発生時の河川の状態確認など、さまざまな有事・平時を想定したドローン飛行を、往復約2キロ、約12分間、最大高度約70メートルで行った。
同社のドローンポートは現在、石川県内4カ所に設置。2024年1月に発生した能登半島地震の復興状況確認などに活用しているが、クマなどの獣害対策を目的に検証を行うのは、秩父市が全国で初めて。市は今後、市内数カ所にドローンポート設置を検討していく。
秩父市に寄せられたクマの目撃情報は、24年度が37件だったのに対し、本年度は12月14日時点で73件。ドローンポート設置後は、市民らからのクマの出没通報を受けて10分以内にポートからドローンが自動離陸し、通報エリアまで急行。同社が市の担当部署に周囲の状況を報告する。
市先端技術推進課の担当者は「クマの目撃情報が寄せられた後に、職員が現地視察を行っても、時すでに遅しで、出没状況が確認できないケースが多々ある。ドローンポートの活用によって、職員の業務負担軽減や、現地に向かう猟友会らへの安全確認に役立つことを期待したい」と語った。
横瀬町はこの日、城北ドローンオフィス(東京都板橋区)と連携し、ドローンを獣害対策に活用した実証実験を町内で初めて実施した。同町では今年4月から12月14日の期間、前年度より19件多い22件のクマに関する目撃情報が寄せられている。この日は、11月6日にクマの目撃情報があった、花咲山公園(横瀬町横瀬)周辺に、動物の熱を感知する赤外線カメラ付きのドローン2機を飛行させ、クマの出没リスクを調査した。
町振興課担当者は「今年はクマに関する目撃情報が相次いだことで、日々不安を感じている町民が増えた。安全確保のため、花咲山公園の一部エリアは現在、立ち入り禁止にしているが、今回の調査は、エリア開放時期の判断資料としても活用したい」と話していた。










