埼玉新聞

 

無駄省きコスト抑制を さいたま市新庁舎整備で市民説明会 事業費増、懸念相次ぐ 2031年度をめどに新都心へ移転

  • 市民説明会であいさつするさいたま市の担当者=24日午前、さいたま市中央区新都心

    市民説明会であいさつするさいたま市の担当者=24日午前、さいたま市中央区新都心

  • 市民説明会であいさつするさいたま市の担当者=24日午前、さいたま市中央区新都心

 さいたま市が10月に公表した新庁舎整備基本設計説明書の素案について、市の担当者による市民説明会が24日、同市中央区で開催され、市民ら約150人が参加した。参加者からは現時点の概算事業費が4年前の約3倍となる約700億円に上る点に「金額の上限を設けた方がいい」「増額分を負担するのは市民だ」「規模縮小は考えていないのか」などと懸念する質問が相次ぎ、「必要のないものを削り、コスト抑制を考えていくべき」との意見も多かった。

 市は、合併30年の節目となる2031年度をめどに、さいたま新都心への市役所本庁舎の移転と供用開始を目指して計画を進めている。

 説明会では、市都市経営戦略部の担当者が行政棟、議会棟、中広場棟となる新庁舎を解説。市のシンボルとなる庁舎など基本理念と基本設計の考え方を示した上で、地下1階、地上18階となる構造で18階に展望施設、屋上にはヘリポート(飛行場外離着陸場)を設ける点や環境配慮計画、防災中枢拠点機能を有する点などを説明した。概算事業費は約700億円となり、コスト上昇が続くと750億円以上に上る可能性も示唆した。

 参加者からは事業費高騰に関する質問が相次いだ。男性は「計画は素晴らしい」としながらも、21年12月の約238億円から約700億円に膨らんだことに「増額分はどこが払うのか。結局は市民の負担だ」と訴えた。市側は、財源に新庁舎整備基金や市債、国庫補助金の活用を挙げ、建設費上昇については「設計途中なので、なるべく抑制できるように材料の選択や工法を建設事業者にヒアリングしながら進めたい」と答えた。

 入札不調が続く現状に「金額の上限をある程度決めて、立ち止まるステップを入れるべきでは」との意見のほか、ヘリポートの導入意図や展望台の費用対効果を問う声も聞かれた。市はヘリを所有しておらず、ヘリポートは「災害時の利用を想定」、展望台については年間を通じ市内の小学生に学校単位で来てもらうなど継続的に市の地域資源を伝える取り組みを挙げ「造るだけではなく、効果的な運用方法も考えていく」とした。

 桜区から参加した60代女性は説明会後、新庁舎建設を進める上で「ヘリポートや展望台とかは削ってもいいのではと感じた。あれもこれもではなく、コストの抑制を真剣に考えていくべき時期だ」と注文を付けた。

 市は今月28日まで実施しているパブリックコメント(意見公募)や今回の説明会での意見を踏まえ、来年4月に基本設計説明書を完成させる。

ツイート シェア シェア