埼玉新聞

 

公告期間、工期を大幅延長 さいたま市 武蔵浦和の義務教育学校 3度目入札へ対応策

  • 【地図】さいたま市(背景薄緑)

    さいたま市の位置

  • 【地図】さいたま市(背景薄緑)

 さいたま市がJR武蔵浦和駅周辺で進める小中一貫の義務教育学校の設置計画が2度の入札不調により開校時期が遅れている問題で、入札の公告期間と工期を大幅に延長するなどして3回目の入札を目指すことが18日、分かった。これまでの建設事業者側へのヒアリング内容などを踏まえ、市教育委員会が市議会子ども文教委員会で5項目の対応策を示した。関連する補正予算議案を市議会12月定例会に提出する見込み。

 市教委学校施設整備課によると、2回目の入札不調後の7月に事業者48社にアンケート調査を実施。回答のあった42社のうち、次回入札に少しでも前向きな10社に対して9~10月に対面でヒアリングを行った。財政局、建設局とともに内容を分析し5項目(入札公告期間、入札参加条件、発注方式、工期設定の見直しと適正な予定価格の設定)の対応策を取りまとめた。

 入札公告期間については、事業者側からの「短すぎる」という声を踏まえ、前回入札時の44日間から約110日間へ延長。実工期も意見や昨今の人手不足の状況も加味し、前回の31・5カ月から、36カ月を上限に調整するとした。

 またアンケート結果から2回目の入札時に実勢価格と予定価格で最大2割の乖離(かいり)があったとし、発注者が予定価格を算定する際に入札参加希望者が提出した見積書を参考に積算と実勢価格の乖離を解消する「見積活用方式」の初採用を検討するなど発注方法も見直すと示した。

 2度の入札不調を受け、竹居秀子教育長は市議会6月定例会で「2028年4月の開校が見込めなくなった」と述べていた。この日の委員会では市議から開校時期について質問があった。市教委の担当者は補正予算の審議があり、3回目の入札が控えていることから明確に答弁するのは難しいと前置きした上で、「工事についてはできる限り、2029年度中に完了できるように努めたい」と答えた。

 入札を巡っては2月に予定価格約149億円で募集したが参加申請はなく、開校スケジュールに間に合わせるため4月15日に再公告。設計価格を約14億円(10%)増額する約163億円に、工期も2週間延長したほか、施工実績や総合評定値の要件を緩和したが、入札参加申請があった2者がいずれも開札日の5月29日までに辞退した。建設資材や人件費の高騰、人手不足などが原因とみられている。

ツイート シェア シェア