びっくりした…女性2人死亡、1人は窒息と判明 襲った疑いの22歳「4桁の番号で施設に入った」 どの出入り口も同じ暗証番号、22歳が退職後も変更なし 事前にナイフ準備「2人に恨みはない」
15日未明、埼玉県鶴ケ島市若葉2丁目の介護付き有料老人ホーム「若葉ナーシングホーム」で入所者の女性2人が殺害された殺人事件で、殺人容疑で逮捕された元職員の無職男(22)=熊谷市箱田4丁目=が被害者女性について、県警の取調べに「2人に恨みはなかった」と供述していることが捜査関係者への取材で分かった。県警は引き続き犯行動機や当時の詳しい経緯を調べている。県警は16日、男を同容疑でさいたま地検に送検。施設で現場検証を行った。
県警によると、男は施設の正面玄関ではなく、1階の職員らが使用する出入り口から侵入。侵入方法については「4桁の暗証番号を入力して、出入り口の鍵を開けて施設に入った」と供述していることも新たに分かった。出入り口や施設内の複数箇所には暗証番号を入力する電子錠が整備されていたが、暗証番号はどこも同じで、施設側の話では男が退職した昨年7月から変更していなかったという。
事件は15日未明に発生。5階に入所していた女性(89)と、4階に入所していた女性(89)が個室のベッド上であおむけで倒れているのを職員が発見した。2人とも上半身に複数の刃物とみられる傷があり、救急搬送されたが、その後死亡が確認された。県警によると、5階の女性には首を絞められた跡もあり、司法解剖の結果、死因は頸部(けいぶ)圧迫による窒息だった。県警は同日、5階の女性を殺害した容疑で逮捕。容疑を認め、4階の女性の殺害についても認めているという。
男は犯行時、フードやマスク、手袋を着用していた。施設の防犯カメラにはナイフを持った男とみられる人物が写っていた。当時施設には職員1人が勤務しており、職員が手薄な夜間帯を狙って犯行に及んだとみられる。
男は犯行後に着替えており、捜査の手が及ばないようにしていた可能性がある。現場付近の路上には、血痕のようなものが付着したナイフや犯行時に着用していたとみられる衣服などが入ったバッグ、使用していたとみられる自転車が発見され、押収されている。捜査関係者によると、バッグの中には首を絞めることができる物も複数入っていた。男はナイフについて、事前に準備していた旨の供述をしており、計画性があったとみられる。
■施設周辺、緊迫感漂う 入所の母に面会できず
鶴ケ島市の老人ホーム「若葉ナーシングホーム」で入居者の女性2人が殺害された事件から一夜明けた16日、施設周辺の規制線は張られたままだった。施設にはデイサービスの利用者を乗せた車が出入りする中、県警の捜査員らが立ち入るなど、緊迫感が漂っていた。
16日には県警の捜査員ら約15人が同施設で現場検証を行った。帽子や手袋を身にまとった捜査員らが施設周辺を入念に調べていた。
94歳の母が入所しているという60代女性は、16日に面会をしようとしたがかなわず、直接の連絡は取れていないという。「安心させてあげたい」との思いから、母が好きだというミカンやヨーグルトなどを袋いっぱいに差し入れた。セキュリティー面で気になる点はなかったといい、事件を知った時は「びっくりした。なぜこのような事件が起きてしまったのか」と不安そうに語った。










