埼玉新聞

 

絵が語る戦火と希望 ガザとテレジン、子どもたちが描いた絵50点が並ぶ 埼玉・川越で9日まで企画展

  • 2023~24年ごろにガザの子どもたちが描いた絵を見る野村路子さん。右の絵はがれきの中、松葉づえを突いた人が歩く。爆弾が落とされ、建物が燃えている様子が描かれている=3日、川越市内

    2023~24年ごろにガザの子どもたちが描いた絵を見る野村路子さん。右の絵はがれきの中、松葉づえを突いた人が歩く。爆弾が落とされ、建物が燃えている様子が描かれている=3日、川越市内

  • 2023~24年ごろにガザの子どもたちが描いた絵を見る野村路子さん。右の絵はがれきの中、松葉づえを突いた人が歩く。爆弾が落とされ、建物が燃えている様子が描かれている=3日、川越市内

 80年前と現代で戦火を生きる子どもたちの絵を紹介する「子どもたちの命と希望」展が、川越市立中央図書館で開かれている。イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ侵攻が続く中、ナチス・ドイツによるユダヤ人強制収容所「テレジン」にいた子どもたちの絵と、戦闘下にあるガザの子どもたちが描いた絵約50点を並べて展示している。企画展を主催した団体代表で、ノンフィクション作家の野村路子さん(88)は「絵から聞こえる子どもの声に耳を傾けて」と話した。入場無料、9日まで。

 野村さんは、1941年から45年までチェコスロバキア(現チェコ共和国)にあったテレジン収容所で、希望を捨てずに絵を描いた子どもたちを紹介する活動に取り組んでいる。イスラエルによるガザ侵攻が激しさを増す中、知人が9月、静岡県富士宮市で開いたテレジン展で、ガザの子どもたちが描いた絵を展示。川越でもぜひ紹介したいと、知人を通じガザで絵を教えていたパレスチナ人画家ラーエド・イーサさんに連絡すると、「一人でも多くの人に見てほしい」と快諾、今回の企画展につながった。

 会場の入り口付近に置かれた縦長の作品は、2023年と24年のガザ周辺を比較して描かれた絵。画面上半分に描かれた23年は、青い海、緑いっぱいの都市なのだが、下半分の24年は、戦闘機が飛び、建物ではなくテント、血だらけの人が路上に倒れている。ガザの子どもたちが直面する「現実」に胸が痛くなる一枚だ。そのほか家族と楽しそうに過ごす作品もあれば、空爆の中、松葉づえを突いてがれきを歩く絵も。

 テレジンの子どもたちも家族や遊園地など楽しい思い出を描きつつ、食べ物への渇望といった苦しい状況を表現した。野村さんは「80年前と今、絵には共通するものがある。時代や場所は違っても戦争で犠牲になり、つらい思いをするのは子ども。そのことを分かってほしい」と話した。午前10時~午後4時半(最終日は午後3時)まで。

 問い合わせは、宮園さん(電話090・4362・6108)へ。

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