埼玉新聞

 

妊婦健診で交通費を支援 埼玉・秩父 遠方受診の負担軽減へ

  • 【地図】秩父市(背景薄緑)

    秩父市の位置

  • 【地図】秩父市(背景薄緑)

 秩父市は25日、遠方の産科医療機関で受診する市内妊婦の健診時の交通費の一部を助成する制度を、10月1日から開始すると発表した。市はこれまで、遠方の分娩(ぶんべん)取り扱い施設で出産する市内の妊婦に対して交通・宿泊費の一部助成を行ってきたが、来月からは、妊婦健診時の交通費支援も行う。市によると、県内で同制度を実施するのは、小鹿野町に続いて2例目。

 今回の交通費支援は、市内妊婦の経済的負担の軽減が目的。自宅または里帰り先から最も近い健診の実施が可能な産科医療機関まで60分以上の移動を要する妊婦や、医学的な理由で受診が必要な最寄りの救急医療・集中治療施設まで60分以上の移動を要する妊婦などが対象で、自家用車移動の場合は自宅からの往復の距離、公共交通機関の場合は実費の8割を助成する。事業費(29万円)は国、県の補助を活用する。

 同市によると、少子化や医師不足による医療機関の集約化などが影響し、秩父郡市内の産婦人科診療所は2013年1月以降、岩田産婦人科医院(同市番場町)の1院のみになっている。24年度の同院の分娩取り扱い数は274件で、うち56件が里帰り出産。分娩数は年々減少傾向にあるが、埼玉医科大病院(毛呂山町)などからの産科医派遣で、医療体制を維持している。

 小鹿野町は、町立病院内の産婦人科が終了した2002年度以降、隣接自治体の岩田産婦人科医院が最寄りの出産施設になっている。山間地域の一部住民は、同医院まで60分以上の移動を要することから、4月に県内で初めて、妊婦健診時の交通費支援助成金事業を導入した。

 町こども課担当者は「昨年度の出生数は16人と過去最低を更新したが、本年度は20人を超える見込み。出産施設がない町なりの、生み育てやすいまちづくりを進めていく」と話した。

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