管理職も対象は全国初 教員の復職制度を新設 さいたま市教委 受験負担を軽減、即戦力を確保
さいたま市教育委員会は24日、育児や介護、その他の理由で学校現場を離れた教員のうち、再び市の教員として働くことを希望する人を選考して採用する復職制度「さいたま市立学校ティーチャー・リターン制度」を新設すると発表した。小、中学校教員などのほか、市教委によると、募集の対象に校長、副校長、教頭の管理職を含めるのは全国初という。竹居秀子教育長は同日の定例会見で、復職制度の導入について「即戦力となる人材の確保へ、この制度を教員採用の新たな柱にしたい」と述べた。
全国的に教員のなり手不足が深刻化する中、さいたま市教委が9月12日に発表した2026年度採用の市立学校教員採用選考試験の倍率は全区分合計で「4・4倍」と良好な数字を保っている。ただ、教育環境のさらなる充実へ、より質の高い、即戦力となる人材の確保は重要となる。
今回の採用制度の特徴は受験の負担の少なさだ。これまでは一度退職した教員が復帰するためには一般の教員採用試験で筆記、実技なども受ける必要があったが、選考形式は個人面接1回のみ。竹居教育長は「復職を考える先生には再び教壇に立つことを後押しする制度」と力を込めた。
市教委教職員人事課によると、26年度採用の復職制度の募集区分は管理職のほか、小学校教員(全教科)、中学校教員(国語、社会、数学、理科、音楽、グローバル・スタディ)、特別支援教育担当教員(小学校)の四つ。受験資格は、さいたま市で採用▽生年月日が1967年4月2日以降▽市の本採用教員(校長含む)として継続して5年以上勤務▽退職後5年以内など。
募集期間は10月1日から同月31日で、11月中旬に行う個人面接と在職時の人事評価結果を基礎とした勤務成績を加味し、選考するという。今回は教員採用試験が実施済みのことから充足状況を踏まえ、数人採用する。27年度採用からは一般の教員採用試験と同時期に行う予定。
市教委は、さいたま市が昨年10月に市職員を離職した人を対象として初めて導入した「キャリア・リターン制度」をベースに、同様の教員採用制度を運用している北海道や札幌市も参考に進めてきた。全国に先駆けた取り組みとして、募集区分に管理職を入れた。その意図について、竹居教育長は「これまでの経験値は何物にも代え難い。もう一度、やりたいという意欲をぜひ現場で生かしてほしい」と期待を寄せる。










