埼玉新聞

 

55年ぶり展示に期待 大阪・関西万博に盆栽、きょう18日から 1970年の大阪万博で広く知られるようになった大宮盆栽村 今年開村100周年 園主「万博後は観光バスで団体が訪れるようになり、活気があった」

  • 大阪・関西万博に出品するカエデの盆栽を紹介する芙蓉園の竹山浩園主=12日、さいたま市北区の芙蓉園

    大阪・関西万博に出品するカエデの盆栽を紹介する芙蓉園の竹山浩園主=12日、さいたま市北区の芙蓉園

  • 1970年、芙蓉園と大阪万博会場をつないで実施されたテレビ中継の様子。右から2人目は竹山さんの父房造さん(竹山浩さん提供)

    1970年、芙蓉園と大阪万博会場をつないで実施されたテレビ中継の様子。右から2人目は竹山さんの父房造さん(竹山浩さん提供)

  • 大阪・関西万博に出品するカエデの盆栽を紹介する芙蓉園の竹山浩園主=12日、さいたま市北区の芙蓉園
  • 1970年、芙蓉園と大阪万博会場をつないで実施されたテレビ中継の様子。右から2人目は竹山さんの父房造さん(竹山浩さん提供)

 55年ぶりに大阪で開催されている万博に近く、大宮盆栽村(さいたま市北区)の盆栽が展示される。今年開村100周年を迎える盆栽村が世間に広く知られるようになったのは、1970年に開催された大阪万博がきっかけだった。万博会場に展示された盆栽を見ようと多くの人が訪れ、盆栽村と万博会場をつなぐテレビ中継も行われた。中継会場となった盆栽園「芙蓉園」の園主、竹山浩さん(84)は「万博後は観光バスで団体が訪れるようになり、活気があった」と振り返る。

 70年に開催された日本万国博覧会(大阪万博)の「盆栽水石展」では、全国各地から集められた盆栽が半年間展示された。盆栽村からも多数出品したほか、埼玉県の出品として展示された、県木であるケヤキの盆栽50鉢を使用して武蔵野の風景を再現した作品も人気を博したという。近くに設けられた中継基地では竹山さんら盆栽園の若手が交代で寝泊まりしながら、盆栽の入れ替えを担当し展示を支えた。

 会期中、芙蓉園と万博会場をつないだテレビ中継も行われ、さらに評判を呼んだ。「前半(の展示会場)はわりと閑散としていたのに、後半はもう押すな押すなでしたから」と竹山さんは懐かしむ。

 国内外で起きた盆栽ブームの影響で、万博後は多くの外国人や若い女性が盆栽村を訪れるようになり、弟子入りの志願者も増えたという。「愛好家はずっといたけど、一般の方に盆栽を知らしめたのは万博といっても過言ではないでしょうね」

 「生きた芸術品」とも呼ばれる盆栽。竹山さんは「作って終わりではなく、その後の手入れが大事。50年、100年と維持するのはなかなか大変だが、時とともに変化するのも一つの見どころ」とその魅力を語る。

 一方で、最盛期には30園以上あった盆栽村だが、園主の高齢化や後継者不足などにより現在は6園まで減少。次の世代への継承が課題となっている。

 そんな中、55年の時を経て、再び大阪で開催されている大阪・関西万博。18~21日にさいたま市のブースが出展され、盆栽が展示される。芙蓉園からもケヤキとカエデの雑木2点を出品するといい、竹山さんは「これをきっかけに盆栽に興味を持ってくれる人や盆栽村を訪れる人が増えたら」と期待を寄せる。

■盆栽と人形 世界に さいたま市が18~21日出展

 埼玉県さいたま市は18~21日、開催中の大阪・関西万博に出展を行う。「BONSAI&NINGYO 伝統文化と暮らす街」をテーマに、出展ブースに市の伝統産業の大宮盆栽や岩槻の人形を展示して世界にアピールするほか、会場に「さいたま市オリジナルの香り」の空間芳香を実施する。

 市観光国際課によると、大宮盆栽は大小合わせて十数点を展示。リビング空間を再現したスペースにミニ盆栽を飾り、盆栽のある暮らしを提案する。岩槻の人形は、今回の万博開催記念に5人の職人で手がけたひな人形と1970年の大阪万博に出展されたひな人形を並べて飾る予定。このほか七段飾りやだるま、招き猫、猿などの木目込み人形などを展示する。

 会場で来場者をおもてなしするオリジナルの香りは、都市イメージの向上や誘客促進につなげる目的で、北区宮原町に「香り技術研究所」を構えるプロモツール(本社・東京都文京区)と約3カ月かけて開発した。爽やかで安らぎが感じられる香りは、さいたま市が目指す「都市と自然の調和」「住みたい街」のコンセプトに、ぴったりと合う。

 清水勇人市長は「万博を契機として、本市の魅力を国内外に発信し、開催効果を最大限波及させ、地域活性化につなげていきたい」と述べた。

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