まさか…これまで見られなかった白ハスが開花 埼玉・川越 伊佐沼を代表する夏の花、古代ハスが2年ぶり開花 異変は3年前から、カメなどの食害で絶滅の危機にも 市民ら、名所復活へ手応え
川越市民の憩いの場として親しまれている伊佐沼の古代ハスが2年ぶりに開花した。沼を代表する夏の花として、市民に愛されてきた同所のハス。3年ほど前から生育に異常が表れ、2年前には絶滅が心配された。カメなどによる芽の食害が原因と判断した市民団体が保護に取り組み、その活動が功を奏した形だ。予想よりも早い再生に、同団体は名所復活への手応えを感じている。
復活に取り組んでいるのは、同所のハスの生育・管理に携わってきたボランティア団体「伊佐沼の蓮を咲かそう会」。沼はかねてよりハスの名所として知られ、夏になると、沼一面に多数の花が咲いていた。しかし、一昨年は葉すら全く出ない状態になってしまった。
会長の原田秀一さん(74)らは、条件付特定外来生物のアカミミガメによる食害が原因と判断。昨年3月、カメが入らないようにと、沼の遊歩道近くの沼床4カ所にパイプを使って横5・4メートル、幅9メートル、高さ1・5メートルの囲いを組み立てた。その中に、会員が手分けをしてそれぞれの家庭で大切に育ててきたハスを移植した。
茎が腐ったり、新芽が出ても蓮根が黒くなるなど、順調に育たないときもあったが、再移植するなどして見守ってきた。その努力が実り、囲いの中でハスの葉は大きく育ち、囲いの一つに8月中旬、ピンク色の花が5、6輪咲いた。
まだ、数は少ないものの絶滅の危機から2年後に開花したことについて原田さんは「一般的に再生に10年はかかるといわれるが、会では5年を目標に復活へ取り組んできた。先輩たちが増やしてきたハスを、このまま絶やすことはできないという会員の気持ちが実を結びつつある」と笑顔で語った。一方で「沼に咲き誇るハスの再現はこれから」と厳しい表情も。
来年は囲いをさらに増やすことにしており、ハスの再生が期待されている。同会はまた、カメの駆除にも乗り出しており、昨年だけで数百匹を捕獲している。
今回、ピンク色のハスに交じってこれまで見られなかった白ハスが開花したことに会員は「まさか白の花が咲くとは」と驚いている。ただ、200年以上前の伊佐沼では紅白のハスの花が水面を彩っていたという言い伝えもあり、ハス復活の暁にはピンクと白の花の競演が見られると、会員らは期待を膨らませている。










