埼玉新聞

 

ひどい…埼玉で突風、屋根が吹き飛ばされる 電柱6本も破壊、建物も倒壊 落雷でごう音、男性ぼうぜん「屋根が飛び、電柱が倒れても気付かなかった」

  • 突風の被害を受けた養鶏場=28日午後、坂戸市青木

    突風の被害を受けた養鶏場=28日午後、坂戸市青木

  • 坂戸市青木から川島町飯島の周辺(国土地理院HPより)

    坂戸市青木から川島町飯島の周辺(国土地理院HPより)

  • 突風の被害を受けた養鶏場=28日午後、坂戸市青木
  • 坂戸市青木から川島町飯島の周辺(国土地理院HPより)

 坂戸市で27日午後、突風や落雷が発生し、養鶏場や電柱が倒壊した。県警危機管理課によると、3軒の建物が倒壊し、6本の電柱が倒壊したり傾いた。人的被害はなかった。熊谷地方気象台は現地に職員を派遣し、原因を調査した。

 27日午後6時25分ごろ、近隣住民から「雷が落ちて電柱が傾いて電線が切れている」と110番があった。周辺地域では約770棟が停電し、午後9時40分には復旧した。

 現場の養鶏場は圏央道坂戸インターチェンジ(IC)から北西に約1キロ。建物付近の電柱が倒れており、2棟立ち並ぶ鶏舎は1棟の屋根が道路に吹き飛ばされ、もう1棟は建物が倒壊。鶏舎内のケージから出られない千羽弱の鶏の鳴き声が響いていた。

 経営者の男性(89)は当時の状況について、「強風でひょうが交じった大粒の雨が降り、雷が大きく鳴っていた」と振り返る。雷のごう音で、屋根が飛ばされたり電柱が倒れたことにすぐ気付けなかったという。被害を目の前に「突然のことで、もうどうしようもならないと開き直ってしまった。今回の被害で養鶏所を続けていくことは無理だ」とぼうぜんとした表情を見せた。

 月に2~3回、養鶏所で卵を買うという近所の男性(86)は「テレビを見て、近所の養鶏所だったから驚いた。こんなにひどい状況になっているとは思わなかった。けが人がいなくて本当に良かった」と話した。

■風速は約45メートル 熊谷地方気象台

 熊谷地方気象台は28日、27日午後6時10分ごろ、坂戸市青木から川島町飯島にかけて発生した突風の種類について、積乱雲から強い下降気流が吹き下ろす「ダウンバースト」か、積乱雲の下の冷たい空気が流れ出す「ガストフロント」の可能性が高いと発表した。強さは風速約45メートルと推定され、日本版改良藤田スケールで6段階のうち下から2番目のJEF1に該当する。

 同気象台は28日、職員を気象庁機動調査班(JMA-MOT)として現地に派遣し調査を実施。突風発生時に活発な積乱雲が付近を通過中だったが、竜巻の発生を示唆する情報は得られず、被害や痕跡は面的に分布していた。突風は比較的短時間(1~10分程度)と比較的長時間(10分程度)だったという証言がそれぞれ複数得られたという。
 

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