猛暑の影響か…オニバスの開花が減少 例年は直径1メートルほどの浮葉が池覆うも今年は皆無 埼玉唯一の自生地・加須
加須市飯積のオニバス自生地で、同市指定天然記念物のオニバスが赤紫色の花を咲かせている。オニバスはスイレン科の一年草。猛暑の影響を受けてか、例年だと直径1メートルほどの浮葉が池を覆うが、今年は皆無。浮葉は直径15センチほどと小さめ。いつもは浮葉の間から花芽を出し、赤紫色の花を咲かせるが、今年はそうした姿も見られなかった。
オニバスの会の渡辺章さん(74)は「猛暑が影響してか、開花が確認できたのは7輪。浮葉の大きさはすごく小さい。今月下旬に自生地でオニバスフェスタを開くが、楽しみにして見に来る方には、ちょっと申し訳ないようだ」と恐縮する。
北本市荒井の県自然学習センター・北本自然観察公園の学習指導員によると、猛暑の影響は植物だけでなく昆虫などにも見られるという。「未体験の暑さ。自然界に何が起こるか分からない。オニバスの生育不良も、暑さが影響していると思う」と話した。
オニバスは、県のレッドデータブックで絶滅危惧ⅠA類に分類されている。加須市指定天然記念物で、同市北川辺総合支所から東に900メートルほどの場所に、県内唯一の自生地がある。見頃は8月中とされ、多くの人が訪れる。
同市北川辺総合支所地域振興課によると、自生地の場所には1957年までオニバスが自生する越中沼があった。水田開発で埋められ、オニバスは絶滅したと思われたが、82年の水路改修工事や2019年のパイプライン工事により目覚め、復活した。
オニバスの保護は、14年に発足したオニバスの会が中心に行っている。同会は8月中の土、日曜日の午前8時から同11時まで、現地でガイドを行っている。23日は午前7時から同11時半まで自生地で、オニバスフェスタが開かれる。
問い合わせは、北川辺総合支所地域振興課(電話0280・61・1205)へ。










