埼玉新聞

 

河童伝説伝わる市内全域を「村」に まちづくりプロジェクト「志木かっぱ村」が開村 埼玉・志木 豊かな自然と河童伝説を核に魅力発信 埼玉では2例目

  • 志木市商工会が製作、発行している「志木カッパ像巡りMAP」

    志木市商工会が製作、発行している「志木カッパ像巡りMAP」

  • 【地図】志木市(背景薄緑)

    志木市の位置

  • 志木市商工会が製作、発行している「志木カッパ像巡りMAP」
  • 【地図】志木市(背景薄緑)

 古くから河童(かっぱ)伝説が伝わる志木市の市内全域を「村」に見立て、地域の魅力を再発見し、市内の活性化を図ろうと、志木市商工会員を中心にした市民有志らが9日、まちづくりプロジェクト「志木かっぱ村」(村長=清水良介・市商工会相談役)を立ち上げた。「誰もが村民、まち全体が遊び場」がコンセプトで、合言葉は「へのかっぱ」。柳瀬川と新河岸川、荒川が流れるなど市内の豊かな自然と河童伝説を核に市民が主体となり、魅力を発信する。

 河童伝説などに関する市民団体「かっぱ村」は全国各地に多数あり、県内ではさいたま市見沼区の「さいたまかっぱ村」に次いで2例目という。

 志木市には河童伝説を背景に1990年代から、志木駅周辺や小学校、公園など市内約30カ所に河童をモチーフにした石像が設置されているほか、市文化スポーツ振興公社の「カパル」や市商工会の「カッピー」、志木小学校おやじの会の「カピ太郎」などマスコットキャラクターも制作されている。

 プロジェクトは(1)河童をテーマに新たな観光スポットの創出(2)河童像を巡るツアーやキュウリ栽培などオーガニック野菜作り体験(3)全国約70団体が加盟する「河童連邦共和国」に加盟し、共同催事を通じて交流を促進(4)「カパル」など三つのマスキャラを公式アンバサダーに委嘱、魅力を発信―などに取り組む。

 開村に伴い村民も募集する。居住地や年齢などに条件はない。希望者は村民税(年間)として、大人(高校生以上)500円、子ども(中学生以下)300円、家族(1世帯)千円、賛助会員5千円を収める。応募は公式HPから申し込む。

 清水村長は「志木を愛する人々の遊び心と創造力が集まる場所です。伝説のかっぱがそうであったように人々の心を引きつけ、笑顔の輪を広げたい。村民になり、ワクワクするような村を創りましょう」と応募を呼びかけている。

 問い合わせは、「志木かっぱ村事務局(志木市商工会内)」(電話048・471・0049)へ。

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 【志木市の河童伝説】 江戸時代の随筆「寓意草」に登場する。柳田国男の民話「山島民譚集」の「和尚の慈悲」によると、武蔵北足立郡舘村(現・志木市)の引又川に住む河童が寺で飼育していた馬を川の中に引きずりこもうとして失敗。馬に蹴られて倒れていた河童を哀れに思った和尚は許し、河童は泣きながら水に帰った。翌日、大きなフナ2匹が和尚の枕元に置かれており、それ以来、人馬が突然いなくなることはなくなったという。

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