埼玉新聞

 

おいしい…お寺でフレンチ、お坊さんが作る料理好評 川越の最明寺で“味わう会” 10月も開催予定

  • 仏教の精進料理とフランス料理を掛け合わせた「フレンチ精進料理」

  • フレンチ精進料理を味わう参加者ら。左上は給仕する折橋さん=川越市小ケ谷の最明寺

 仏教の精進料理とフランス料理を掛け合わせた「フレンチ精進料理」を味わう会が川越市小ケ谷の最明寺であり、26人が参加した。

 敷居が高いと思われがちなお寺に、気軽に足を運んでもらおうと同寺初の試み。お坊さんが作る一風変わったフレンチに、実食者は「精進料理とはいえ、しっかりとコクのある味でおいしい」と好評だった。

 最明寺の千田明寛副住職(31)は、各地の寺で檀家の数が減り、僧侶のなり手も先細りする仏教界の現状に危機感を抱いていた。「お寺は本来、人の気持ちを聴く場所。食事をしながらであれば、角が取れ、堅苦しさもなくなり、寺に足を運びやすくなるのではないか」と期待した。

 フランス料理人の一面も持つ、神奈川県箱根町の常泉寺副住職、折橋大貴さん(30)に料理を依頼した。天台宗の最明寺と曹洞宗の常泉寺という宗派を超えた異例の食事の会が実現した。

 「そもそも精進料理は中国から伝わった外食産業。必ずしも和食である必要はありません」と折橋副住職。「植物性食品を材料にするなど、約束を守ればフレンチも精進料理になります」

 「お寺を通じた地域貢献」(千田副住職)も願って、当日の食材は川越の農家や施設から取り寄せた。献立は「精進炊き込みご飯」に、まごころファーム川越の「椎茸のポタージュ」、利根川農園の「トマトとアボカドのピストーカクテル」など。

 肉、バターや生クリームなどは一切使用していないフレンチ精進料理に、同市砂新田の小関優さん(35)は「見た感じは量が少ないかなと思ったけれど、味にコクがあり、食後は満足感に満たされた」とご満悦。

 檀家総代の飯塚彬さん(74)も参加し、「品のいい味で、おいしく頂いた。まずはお寺に目を向けてもらうことが大切」と話した。

 海外からの観光客も多い川越で、フレンチ精進料理はイスラム教徒の食事戒律ハラールや、ベジタリアンにも対応するという。10月にも同寺でフレンチ精進料理を味わう会(有料)を催す予定で、千田副住職は「海外からの参加者も歓迎したい」と話している。詳しくは同寺ホームページから。

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