<高校野球>埼玉に新風 初のAシードで堂々たる戦いぶりを貫いた叡明 「夢の舞台でもこれまでやってきたことを変えず、叡明の野球を示したい」 目標は全国1勝
(埼玉地方大会 27日・県営大宮)
▽決勝
叡明 5―2 昌平
戦評…叡明が昌平を5―2で振り切った。先発の増渕が8回7安打2失点と好投し、継投した田口は1回を無失点に抑えた。打線は六回に打者一巡で3点を挙げるなど投打がかみ合った。
1―2の六回1死二塁で笘の左中間への適時三塁打で同点。1死満塁から細沼の2点適時打で勝ち越した。九回には田口の右前適時打でさらに1点を加えた。
昌平は0―1の三回に暴投で追い付き、五回に桜井の左中間ソロで一時勝ち越したが、六回以降は2安打に抑えられた。
■役割全う、満点の攻撃/叡明
埼玉高校野球界に新風が吹き込んだ。叡明が秋、春、夏を通じて初めての頂点に君臨。初のAシードとして堂々たる戦いぶりを貫いた。中村監督は「重圧もあったし、どの試合も苦しかった。1試合ごとに自分たちのやるべきことを果たしてくれた」と選手たちに賛辞を贈った。
大一番で頼れる中軸が躍動した。1―2の六回、相手投手を攻略し打者一巡の攻撃。1死から4番赤城が右前打で出塁すると5番笘が左中間を破る三塁打を放ち同点とした。さらに細沼の一打で2点を追加。主将の根本は「それぞれが役割を全うして打線となった。満点の攻撃」と胸を張った。
準優勝した春季県大会から打順を変更せずに今大会を戦った。中村監督は「バランスがすごくいい。どこからでもつながる」と自信を口にする。二回はチーム随一の小技を駆使する高野の犠打から先制。九回の追加点は出塁率の高い1番根本が四球を選び生還するなど、そつのない攻撃が随所に見られた。
相手投手への対策も万全だった。序盤は140キロ台の速球を捨て、変化球に的を絞った。三回までの4安打は全て変化球を捉えたもの。根本は「練習から緩めのボールをしっかり振っている。速球もタイミング一つ」と練習の成果を発揮。中盤以降はコンパクトな振りで直球を仕留めた。
投げては増渕、田口の盤石リレー。先発増渕が8回2失点の好投で試合をつくると、九回に田口が登板。先頭打者に安打を許しピンチを招くも「九回は両チームの意地がぶつかる。自分はこれまで誰よりも練習してきた」と気迫の投球。左飛で3アウトを取ると歓喜の輪の中心になった。
自信を持つ2本柱で強打の昌平打線を9安打に封じた。何度も芯で捉えられても守備は地に足が着いていた。三塁手高野は「日頃からグラブを下から出すことを徹底している。ポジショニングも完璧だった」と話した。鋭い打球にも対応し、無失策で支えた。
現チーム発足時から叡明の選手たちは着実に力を付けてきた。チーム一丸となって甲子園へと足を踏み入れる。根本は「まだ実感は湧かない。夢の舞台でもこれまでやってきたことを変えず、叡明の野球を示したい」。目標は全国1勝。憧れの聖地で再び歓喜の校歌を響かせる。










