埼玉新聞

 

埼玉の“スイーツ拠点”から全国のカフェ、レストラン、大手ホテルへ 知らぬ間に食べていた所沢・全菓の味

  • 全菓の豊田雅之社長=所沢市林

    全菓の豊田雅之社長=所沢市林

  • 全菓の豊田雅之社長=所沢市林

 埼玉県所沢市を拠点に手づくりケーキのOEM(受託製造)やODM(受託開発)を請け負い32年。大手ホテルやレストラン、カフェチェーンをクライアントに持ち、北は北海道から南は沖縄まで、日本全国の飲食店に全菓のケーキは並ぶ。「有名なケーキ屋でもスポンジ部分はうちのものを使っていたりする。知らないうちに全菓のケーキを食べている人も多い」と社長の豊田雅之さん(56)は語る。

 豊田さんは2代目社長で、川越市内のレストランで店長として働いていた25歳の頃、レストランに営業として来ていた先代社長の誘いで、全菓の前身となる菓子メーカーに携わるようになった。以来、「クライアント企業と一緒に成長すること」をモットーにスイーツづくりにまい進。「町のケーキ屋さんが大きくなったイメージ」と話すように、手づくりのケーキを小ロットで生産できる強みを生かして、事業を拡大してきた。

 新型コロナウイルスの流行による影響のあおりも受けたが、「今冬に入って持ち返してきた。売り上げはコロナ禍前の水準まで戻ってきている」と、さらなる成長を目指して通信販売を強化し、グルテンフリーや卵を使わないケーキの開発にも力を注ぐ。「今までの経験や歴史に裏打ちされた技術が強み」と語り、「クライアント企業のこだわりを大切にしながら、イメージを形にしていく」と力を込める。

 現在は持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けて、地元大学の学生と協力し、地元野菜を使ったケーキの開発などにも挑戦。工場隣接の直売所ガトーシャトゥでは規格外のケーキやスポンジの切れ端の販売も行う。

 「日々勉強で、クライアント企業からアイデアを教わることも多い。地域密着で、お客さんに笑顔になってもらえるケーキをつくっていく」と豊田社長は話している。

■豊田雅之社長の話

 いかにうまく興味の引き立つ商品をつくれるか考えながら、クライアント企業とともに成長していくことが喜び。

■所在地
所沢市林1の64の2
電話04・2937・4477

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