埼玉新聞

 

参院選・埼玉選挙区 改選前の4議席「自民・立民・公明・共産」→「自民・立民・国民・参政」に 2新人、支持に広がり 既成政党に忌避感も

  • 【ちなみ】投票所1=選挙イメージ

    投票のイメージ

  • 【ちなみ】投票所1=選挙イメージ

 改選数4の埼玉選挙区には過去最多に並ぶ、9政党9人と諸派・無所属6人の計15人が立候補。結果、現職では自民の古川俊治氏が4選、立民の熊谷裕人氏が再選を果たし、新人では国民の江原久美子氏と参政の大津力氏が初の議席を獲得した。

 公示1カ月前の6月上旬の時点では、昨秋の衆院選で党勢を拡大した国民が4議席に食い込んでくるとの見立てが各陣営の共通認識だった。参院選の前哨戦と位置付けられた都議選で、参政党が3議席を獲得すると、その存在感は日ごとに増していった。

 公示日の第一声では、大宮駅東口駅前に陣取った大津氏の選挙カーの周囲には、日陰から拍手を送る子連れの女性が1人。草の根の活動と交流サイト(SNS)で加速度的に支持を広げ、神谷宗幣代表が応援に入った選挙戦最終日には、大宮駅西口の鐘塚公園に約1500人(陣営発表)を集めた。

 情勢調査では国民や参政が幅広い年代に支持を広げている一方、自民、公明の与党両党や立民の支持者は60歳以上に偏った。現役世代の既成政党に対する忌避感がデータに表れ、その傾向はこれまで以上に顕著だった。

 玉木雄一郎代表ら党幹部が連日県内に入った国民は、深谷市出身の元県議が県北の活性化を強調するとともに、党勢そのままに県南部でも支持を広げた。自民はトップ当選で意地を見せたものの、6年前から約21万票減らした結果が重くのしかかった。立民は地道に基礎票を固める守りの選挙戦で、3年前の高木真理氏を超える48万票を積み上げた。

 公明は2007年以来18年ぶりに、公認候補が落選。党代表(当時)の石井啓一氏が埼玉14区で落選した昨秋の衆院選に続く連敗で、大阪を除く4人区の埼玉、愛知、神奈川で議席を失った。

 期日前投票者数は前回から38万2711人増え、134万9259人と県内の国政選挙で過去最多を更新。埼玉選挙区の投票率は56・88%で、2022年の前回を6・63ポイント上回った。

 人口減少・少子高齢化が急激に進む日本には、先送りできない待ったなしの課題が山積している。数の力で押し通すことができない今こそ、政策本位で熟慮を重ねる議論に期待したい。

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