埼玉新聞

 

緊急開通、30日から一時的に…落石事故で8・5キロがずっと通行止めで 一般車が時速15キロ以下で24時間通行できるよう“大滝トンネル”の工事を止め、急遽開通を目指す「1~2メートル大の落石が数個」

  • 落石現場と建設中の大滝トンネルを視察し、工事関係者らに激励の言葉を述べる大野元裕知事(右)=21日午後2時ごろ、秩父市荒川白久の大滝トンネル坑口付近

    落石現場と建設中の大滝トンネルを視察し、工事関係者らに激励の言葉を述べる大野元裕知事(右)=21日午後2時ごろ、秩父市荒川白久の大滝トンネル坑口付近

  • 落石現場と建設中の大滝トンネルを視察し、工事関係者らに激励の言葉を述べる大野元裕知事(右)=21日午後2時ごろ、秩父市荒川白久の大滝トンネル坑口付近

 秩父市大滝の国道140号で11日夜に発生した落石事故で、道の駅大滝温泉と贄川交差点間約8・5キロの通行止めが続いている。大野元裕知事は21日、現地を視察。復旧工事の長期化を見据えて、現在建設中の大滝トンネルを一時的に開通させる方針を示した。一般車が時速15キロ以下で24時間通行できる態勢を整え、今月30日からの開通を目指す。

 落石事故は11日午後10時ごろ、道の駅大滝温泉から秩父市街地方面へ約2キロの片側1車線道路で発生。道路脇の擁壁が崩れて岩や木などが道路をふさぎ、舗装とガードレールが損傷した。人的・住家被害はなかった。

 大野知事は21日午後に現地を訪れ、「道路から上方65メートルほどに発生源があり、1~2メートル大の落石が数個確認できた」と説明した。路面上の落石や倒木は撤去済みだが、不安定な岩塊が複数確認されたことから、補修には4カ月ほどかかる見込みという。

 「通行止めの長期化で、地域住民や観光客らに多大な影響を及ぼす」とし、県は大滝トンネル工事関係者らと協議を重ね、落石現場が復旧するまでの期間、トンネル工事を止め、緊急開通させることを決めた。

 落石があった現道は、急斜面の山麓を切り開いた道路のため、落石・岩盤崩落事故が多発している。大滝トンネルは、同区間約7キロを2キロに短縮し、安全性向上やアクセス改善を図る目的で、2022年5月から大滝強石―落合区間で掘削作業を開始した。24年3月に全長2053メートルのトンネルが貫通し、現在は排水施設や照明、舗装などの工事を進めている。正式な開通まではあと複数年かかる。

 県は、落石事故後の16日以降、緊急車両やスクールバスが大滝トンネルで通行できる態勢を整え、現在までに救急車1台が利用した。大野知事は「まだ完成した状態ではないため、今回の対策は工事関係者と通行者のご協力があってこそ実施できる。開通した際は、通行者にはルール徹底を強くお願いしていく」と話していた。
 

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