埼玉新聞

 

<高校野球>対策万全 会心の金星 滑川総合が浦和学院に4―1 1998年に甲子園出場の県立校がAシードを破る 先発は相手が苦手とする左腕を起用 緩急で相手打線を翻弄

  • 浦和学院―滑川総合 Aシード浦和学院に勝利して喜びを爆発させる滑川総合の選手たち=UD上尾

    浦和学院―滑川総合 Aシード浦和学院に勝利して喜びを爆発させる滑川総合の選手たち=UD上尾

  • 浦和学院―滑川総合 Aシード浦和学院に勝利して喜びを爆発させる滑川総合の選手たち=UD上尾

▽3回戦
滑川総合4―1浦和学院

 滑川総合が春の県覇者・浦和学院から大金星を挙げた。エース左腕石井が6回1失点の好投で試合をつくり、打線は数少ない好機を生かした。滝島監督は「言葉にできないくらいすごいことが起こるのが高校野球の面白さ。選手たちを褒めてあげたい」と高ぶる気持ちを抑えていた。

 0―0の五回、それまで完璧に抑えられていた打線が一変した。橋本の左前打や石井の内野安打などで2死満塁の好機を築く。打席に入った9番細野は「強気にいって、自分の全てをここにぶつける」と2球目の内角直球を中前にはじき返した。打球がフェンス手前へと転々とする間に、一塁走者の石井までが生還した。

 4点を先取した直後の守りが圧巻だった。先頭打者から3連打を浴び、迎えた無死満塁のピンチ。先発石井は「緊張が止まらなかった。チームのため、ここで打たれてはいけないと心が燃えた」。二塁手小林の好守備もあり、犠飛による1点でしのいだ。

 浦和学院の強力打線への対策も万全だった。先発には相手が苦手とする左腕を起用。最速130キロ中盤の技巧派・石井は、およそ4球に1度、80キロ台のスローカーブを投じ相手打線を翻弄(ほんろう)した。殊勲の背番号1は「内外を突いて打たせて取れた。最高の一言」と勝利の味をかみしめた。

 プロ野球の阪神で投手として活躍した久保田智之を擁し、1998年の第80回記念大会で同校を初の甲子園に導いた滝島監督。2番手として登板した捕手篠崎は3回無失点の好投。「背番号2の救援」は27年前をほうふつとさせる。主将の黒崎は「実感が湧かない。浮つかずに戦った相手の思いも背負って、地に足を着けて戦いたい」と気を引き締めた。

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