埼玉新聞

 

大量盗難の被害が判明 公園に植えられていた「ヘメロカリス」 昨年譲り受けた植物、今夏初めて花を咲かせていた 「思い踏みにじられ、悲しい」

  • ヘメロカリスが掘り出された植え込み。掘り出された跡には白いくいが目印として、墓標のように立てられ、くいの数は数十本にも及んでいた=14日午前、川口市西青木の青木町公園

    ヘメロカリスが掘り出された植え込み。掘り出された跡には白いくいが目印として、墓標のように立てられ、くいの数は数十本にも及んでいた=14日午前、川口市西青木の青木町公園

  • 【地図】川口市

    川口市の位置

  • ヘメロカリスが掘り出された植え込み。掘り出された跡には白いくいが目印として、墓標のように立てられ、くいの数は数十本にも及んでいた=14日午前、川口市西青木の青木町公園
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 川口市西青木の青木町公園に植えられていた「ヘメロカリス」が何者かに掘り出され、大量に盗難被害に遭っていたことが14日までに分かった。公園を管理する市公園緑地公社職員は「思いが踏みにじられたようで、ただ悲しい」と肩を落としている。

 ヘメロカリスはワスレグサ科の宿根草。1本の茎に多数のつぼみをつけ、6、7月に色とりどりの花を咲かせる。花の命は短く、朝咲いて、夜にはしぼんでしまうことから、花の名はギリシャ語で「一日の美」を意味するという。

 青木町公園のヘメロカリスは昨年、群馬県伊勢崎市の「ヒロコドリームガーデン」から譲り受けた。高齢化などで園の規模縮小を考えていた同園主から、親交があった同公社職員に約千種、5千株が寄贈され、植栽された市内の公園で今夏、初めて花を咲かせていた。同公社職員の内田啓介さんは「ご厚意をいただき、咲いた花を踏みにじられたようで、ただ悲しい。年々少しずつ大きくなり、きれいな花を皆に楽しんでいただけると思っていたのですが」とやるせない思いを話す。

 盗まれたのはこれまでに判明しているだけで45株。さらに痕跡が見つかっており、被害はその倍以上になると見込まれる。通りから少し奥に植えられた株がシャベルなどの道具を使って掘り出されたとみられ、掘り出した穴には土がかぶせてあった。

 6月末ごろまでは「無事」が確認されていたが、今月10日ごろまでに被害が判明。13日、警察に被害を届け出た。同公社関係者は「自宅に植え替え観賞するには盗難数が多すぎる。道具を使い掘り出しており、何の目的か、この花に詳しいのでは」と話しており、今後、公園内に被害を知らせる案内を掲示するとしている。

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