ごみ焼却を9月に開始、10月からごみ収集車の受け入れ一部再開 埼玉・川口 1月に火災が発生した「朝日環境センター」の内部公開 出火原因はリチウムイオン電池や自然発火するオイルが付着した布と推測
川口市は火災の影響で一般ごみの受け入れを中止している同市朝日の「朝日環境センター」について、現在も堆積したままとなっているごみの焼却を9月に開始し、10月から、ごみ収集車受け入れを一部再開するとを明らかにした。6月27日には内部の火災発生場所の様子を初めて報道陣に公開。市担当者は出火原因の可能性があるリチウムイオン電池を一般ごみに混在させないよう、強く呼びかけた。
火災は今年1月3日夜、ごみを一時的にためておく「ごみピット」で発生し、約27時間にわたりくすぶり続けた。ピットは長さ54メートル、奥行き15メートル、ごみを投入する扉から底まで13メートル。同センターで焼却処理できる約5日分の量を貯めることができる。出火当時は年末に収集された、通常よりも多い約1万3千立方メートルのごみが貯留されていた。
火災によりごみピットに2基あるクレーンのうち1基は全損し、もう1基は一部損壊。壁面は黒く焼け焦げ、全損したクレーンは熱で変形し使用不能となった。ピット内には焼けたごみや汚泥が半年以上、堆積したままで、腐ったような不快な臭いが充満していた。大型送風機で消臭剤を噴霧し周辺への拡散を防いでいる。
市は8月中に一部損壊したクレーンを修繕し、9月にピット内に残ったごみの焼却を開始。10月から、ごみ収集車受け入れを一部再開する。来年2月末までに壁面や天井部分や全損したクレーンを修繕し、同3月からの通常運転を予定する。
出火原因は現時点では特定されていないものの、リチウムイオン電池や自然発火するオイルが付着した布と推測され、8月下旬、消防局の現地調査も行われる。火災に伴い市が負担する復旧費や、他自治体などへの処理委託費などの総額は、現在までに約67億2千万円。
市では火災発生直後から、重要事項として市ホームページなどでリチウムイオン電池内蔵製品の廃棄方法について多言語で発信するほか、リサイクル協力店について「一般社団法人JBRC」への問い合わせを呼びかけている。
小型扇風機やワイヤレスイヤホンなど、同電池内蔵品が便利に普及する一方、どの機器に内蔵されているかが分かりづらいとの声もある。市資源循環課担当者は「コンセントやUSBポートに挿して充電するものは、全てリチウムイオン電池内蔵品。危険なものと思っていない人も多い」と警鐘を鳴らす。
市はリチウムイオン電池の分別をさらに徹底するため、通常の「金属類」としての回収と合わせ、準備が整い次第、朝日環境センター併設のリサイクルプラザと、戸塚環境センター(同市藤兵衛新田)の2カ所で拠点回収を実施する。
朝日環境センターの平山英俊所長は「市民の皆さまにはリチウムイオン電池は一般ごみに交ぜず、金属類として出していただきたい。これが切実な願い」と話している。










