埼玉新聞

 

ベルーナ、福島・檜原湖で遊覧船事業 コロナ収束見据え、観光活性化を後押し 22日、運航開始を予定

  • 運航が再開する「あづま丸」。「ばんだい丸」とともに福島県裏磐梯エリアの檜原湖周辺の観光を盛り上げる

 通信販売や国内外でホテル業などを展開するベルーナ(上尾市)は、福島県の主要観光地域・裏磐梯エリアの檜原湖で遊覧船事業を始める。運航開始予定日は22日。新型コロナウイルスによる観光客の急減を要因に自己破産した磐梯観光船から3月までに、事業承継した。同エリアでホテルを運営するグループ会社が運航に携わる。同県郡山市内に着物関連の美術館も所有し、ホテル、遊覧船と三位一体で各種観光企画を展開し、同県内での事業の強化を進める。コロナワクチン接種の広がりもあり、観光客が戻り始めつつある同県の観光面の活性化を後押しする狙いもある。

 檜原湖畔にある裏磐梯レイクリゾート(LR、福島県北塩原村)を運営するグランベルホテル(東京都)が取得した。遊覧船の「あづま丸(定員200人)」と「ばんだい丸(同150人)」の2隻を所有し、磐梯観光船の元運転士らを雇用。運航担当の船舶事業部を設置。運航許認可は受けている。

 運航時期は4~11月ごろを予定し、運航時間は30分程度。運賃は中学生以上は一人1400円、4歳から小学生は700円。ホテル宿泊者、団体客は割引価格で乗船可能。

 新型コロナの影響が直撃し、自己破産した磐梯観光船は檜原湖のほか、同県内の猪苗代湖でも遊覧船を2隻所有し、事業を展開していた。ベルーナの安野清社長によると「旧知の磐梯観光船の関係者から遊覧船事業全般の事業承継の打診があった」という。裏磐梯LRと一体管理ができ、宿泊客へのサービス向上などによる収益拡大など相乗効果が見込めるとみて、檜原湖事業のみ事業承継した。

 新型コロナの収束を見据え、札幌市などでホテル事業を強化するベルーナ。福島県内も同様で、着物販売事業の底上げを図るため、江戸時代以降の各種着物を1万点以上所蔵の国内最大級の「日本きもの文化美術館」(郡山市)を取得し、来年にも再開する予定。裏磐梯LRでは、今月3日に開催の「2021ミス・アース・ジャパン 東北合同大会」(ベルーナ主催)の会場として使い、認知度向上に注力した。

 安野社長は「(福島県内の事業は)美術館、ホテル、遊覧船の三位一体で推進する」と強調。来年にも同美術館やホテルが連携し着物美人コンテストを開く計画を持ち、ホテルなどの集客につなげる。着物販売事業の顧客ら向けに美術館の見学ツアーも作り、観覧者がホテルに泊まり檜原湖を遊覧するプランもセールスする考えだ。

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