埼玉新聞

 

イオンレイクタウンで越谷だるまアート展 昨年はコロナ禍…古くから縁起物、越谷だるまで良い1年に

  • だるまアートへの思いを語る花房茂さん=越谷市のイオンレイクタウン

 埼玉県越谷市の商業施設イオンレイクタウンで「2021越谷だるまアート展」が開催されている。江戸時代から続く伝統工芸品「越谷だるま」の職人と、越谷だるまをアート作品として手掛ける市内在住のデザイナー・花房茂さんのコラボレーション作品がお目見え。華やかな装いのだるまが、買い物客の目を楽しませている。

 越谷だるまは、古くから縁起物として生産されてきた。現在も市内数カ所の工房で職人が作っている。鼻が高く、色白で上品な顔立ちから「美男子」とも呼ばれ、関東を中心に全国へ届けられている。

 花房さんはデザイン会社に長年勤務し、店舗の演出や商品開発などの仕事に携わってきた。「デザインの力で地域を活性化したい」と2011年に独立。「ハナブサデザイン」を立ち上げ、越谷だるまをアート作品として彩る「だるまアート」や、浴衣地を染める「籠」と呼ばれる真ちゅう型を活用した「籠染灯籠(かごぞめとうろう)」など、地域資源のプロデュースを手掛けてきた。

 だるまアートを生み出すきっかけは、市内の工房を訪ねた時のこと。だるま作りの工程で、木型に和紙が貼り重ねられているのを見てイメージを固めた。和紙の代わりに英字新聞や千代紙などをだるま型に貼り込んだり、直接絵柄を描き込むなどして数々の作品を製作。市内外で展示を行い、高い評価を受けてきた。

 「伝統工芸の職人も時代とともにさまざまな課題に直面している。活動を通じて職人たちを応援したい」と花房さん。今回の展示は、市内のだるま職人らで結成する市だるま組合と協力して、初めてのコラボが実現した。鶴や平安絵巻、花柄など華やかな装いのだるまのほか、歌舞伎の隈取り(くまどり)を施したユニークなだるまも。買い物客らは足を止め、写真を撮るなどして楽しんでいる。

 花房さんは「昨年はコロナ禍で大変な年となった。感染の勢いは止まらず、医療従事者をはじめ多くの方が日々戦っている。皆さんにとって良い1年になれば」と作品に込めた思いを語った。

 展示は11日まで、イオンレイクタウンmori2階豆の木ステージで行われている。

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