埼玉新聞

 

私服警官を大量投入、遠方から来る受け子を待ち伏せ 職質での摘発を推進、上尾署が独自チーム結成

  • 管内を警戒し、受け子の摘発を進める上尾署の捜査員ら=1月下旬、JR上尾駅

 県警は特殊詐欺事件の増加を防ごうと、2018年から駅頭や街頭に私服警察官を大量に投入し、徹底した職務質問による受け子の摘発を推進している。同様の取り組みは県警本部から各署に広がっており、上尾署でも独自のチームを結成。同署刑事課知能犯係長の男性警部補(39)は「本部員は県下を回るが、われわれ署員は常に管内にいる。詐欺被害から市民を守る最後の防波堤としてやっていきたい」と目を光らせている。

 上尾署管内の特殊詐欺事件の認知件数は18年が46件。昨年は9月時点で18年に迫る勢いだったことから、摘発による抑止を図ろうと独自チームを結成した。刑事課を中心に各課からメンバーを選抜して始めたところ、直後の10月に2件連続の摘発につながった。

 「署員の方が管内の駅や地理に詳しく、地の利があるので効率的」と男性警部補。毎日、管内のJR上尾駅などを警戒し、不審な者がいれば声を掛ける。自宅を訪れて現金やキャッシュカードを直接受け取る「受け子」は、遠方から来て指示役の連絡を待つことも多いため、周囲を見回したり、携帯電話をいじったり、徘徊(はいかい)するなどの特徴があるという。

 一方、県警本部の捜査2課員らは予兆電話の通報状況に応じて県内全域に派遣される。詐欺とみられる電話があった地域には既に受け子が待機しているか、これから来る可能性が高いという。同課の男性警部補(42)は「県民の通報は検挙につながる第一歩。通報によって捜査員が向かい、隣近所の被害を防げるかもしれない。うちは引っ掛からないといって切るのではなく、積極的に110番してほしい」としている。

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