驚き…埼玉にアンズの産地が!全国の収穫量、1位は青森、2位に長野、埼玉は“ランク外”…それでも注目度は上昇中 イベント盛況、都内のホテルでも使用 関係者が手応え感じる「鳩山あんず」、今年は大豊作
埼玉で生産量が少ないアンズを特産品にしようと、鳩山町内で十数年前からアンズ栽培が行われている。最近は都内のホテルが鳩山産のアンズを使うなど、注目度も上昇中。町内で開催されたイベントも盛況で、関係者は手応えを感じている。
▼長野に行かなくても…
鳩山あんず栽培加工組合(小鷹房義組合長)が鳩山町松ケ丘のコミュニティ・マルシェで15日に開いた「鳩山あんずフェス」。初開催ながら来場者でにぎわい、完熟朝採りアンズを販売するコーナーには長蛇の列が。100キロ近くのアンズを販売したという。
富士見市の50代の主婦は、アンズが好きで毎年この時期に長野県まで買いに行っていたという。「埼玉にもアンズの産地があるんだと驚いた。買ったアンズでジャムやお菓子を作りたい」
農林水産省の特産果樹生産動態等調査(2022年)によると、全国のアンズ収穫量は青森県が1位で約1250トン。2位は長野県で約766トン。この2県が3位以下を大きく引き離し、収穫量が少ない埼玉は“ランク外”だ。
鳩山町でアンズの生産が始まったのは11年。当時の町議が発案し、17年に鳩山あんず栽培加工組合が発足した。組合によると、現在は町内にアンズ農園は約10軒。栽培品種は7種類で、例年約4トンの収穫がある。今年は「大豊作」で、約5トンになりそうという。
▼販路拡大で奔走
組合では生産のほか、ジャムやシロップ漬けなどの加工品も販売。しかし、販路の拡大が課題だった。
そこに現れたのが、日本人とポーランド人のハーフで、町内で有機農業に取り組む小早川麻里さん。横浜市の出身で、埼玉への移住者だ。3年前、自分も野菜を販売している地元の直売所で鳩山産アンズと出合う。組合員が苦労して売り歩いている話を聞き、「こんな素晴らしいアンズを、多くの人に知ってほしい」。小早川さんは組合に入り、営業とPRを買って出た。食品関係の営業職だった経験や人脈を生かし、奔走を始めた。
東京ビッグサイト(東京都江東区)の食品見本市で、品川プリンスホテル総料理長(当時)の福島慎太郎さんと出会い、昨年春には福島さんが鳩山町に見学に訪れた。アンズを大量に購入してジャムに加工し、一年を通じてホテルのレストランで使用している。
坂戸市の洋菓子店「お菓子の家パオパオ」では、鳩山産の生アンズを使ったケーキを季節限定で販売している。オーナーシェフの金子重春さんは「アンズを栽培しているところは少ないので、近くで仕入れられるのはありがたい」と話す。
▼ウメ、ユズに並ぶ特産に
さらに女子栄養大学(坂戸市)と「あんず豆乳プリン」を共同開発。バーやビール醸造所など、鳩山産アンズを扱う協力事業者も広がっている。組合の“販売部長”宮入千春さんは「鳩山のアンズは誕生間もないけど、越生のウメ、毛呂山のユズに並ぶ特産品として、多くの人に食べてほしい」という。
小早川さんも「鳩山あんずが広がることで『鳩山ってどこ?』と興味を持ってもらいたい。そして鳩山町の農業や生産者にもっと注目してほしい」と話していた。
今シーズンのアンズの果実の販売は7月初旬まで、比企地域のJA直売所などで。問い合わせは、宮入さん(電話090・5546・9598)へ。










