埼玉新聞

 

<台風19号>週末に大雨予報、復旧作業急ピッチ 被災住民らボランティアに感謝「ヒーローみたい」

  • 水に漬かり、使えなくなった部品などを運ぶ樹脂加工工場の従業員ら=18日午後、坂戸市紺屋

 台風19号で大規模な浸水被害が出た坂戸市や川越市など県西部では、18日も復旧作業が急ピッチで行われた。週末にかけて関東や東北に大雨の恐れがあることから、住民は再び水害を懸念して「心配だ」と話した。

 越辺川の氾濫で被害を受けた、坂戸市紺屋の樹脂加工工場の外には、水に漬かって使えなくなった原料約30トンが山積みになっていた。従業員が工場内で、プラスチック加工機のサビ落とし作業に悪戦苦闘していた。

 同社の男性経営者は「これだけ悪天候が続くと、サビ止め作業で一日が終わってしまう。部品が乾かない状態だと、なかなか作業が進まない」と肩を落とす。昔の機械は洗浄すればすぐに動いたが、今は高性能な分、水に弱くメンテナンスが大変だという。

 週末は雨予報が出ているが、「天災には勝てない。焦らずゆっくり作業していくしかない」と話していた。

 新河岸川の氾濫で、床上浸水の被害を受けた川越市寺尾の無職飯田ヨシ子さん(79)の家では、多くのボランティアが清掃活動を行った。

 飯田さんは5年ほど前から一軒家で独り暮らし。台風19号が関東地方に迫っていた12日は、2階の部屋で不安な一夜を過ごしたという。

 13日朝、1階は冷蔵庫や棚が倒れ、泥をかぶった食器などが散乱。「一人ではとても片付けられない」と途方に暮れていると、ボランティアが駆け付け、3日間にわたって清掃作業を行ってくれた。

 17日は午後から天候が悪化。ボランティアは、急ピッチで外に出した家具や荷物を家の中に片付けた。

 飯田さんは「天気が崩れないうちに片付いて良かった」とひと安心。「毎日違うメンバーが現れて、黙々と作業して去っていく。ヒーローみたいな存在」と感謝した。

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