「峠の釜めし」の釜を再資源化 埼玉・深谷 埼玉工業大学が技術開発 全国的に知られる駅弁の容器は「益子焼」 土釜からタイルを作製
2025/06/23/07:32
深谷市普済寺の埼玉工業大学は19日、工学部生命環境化学科環境物質化学研究室兼クリーンエネルギー技術開発センター長の本郷照久教授の研究チームが、陶器製弁当容器から内装用タイル材を作製する技術を開発したと発表した。環境に優しい技術で食後に残る釜めしの容器を資源として再利用することが可能となり、循環経済の時代に対応した環境負荷の低減に貢献する。
本郷教授の研究室は廃棄物問題などに着目し、物質化学をベースとした研究開発で廃棄物の有効活用を目指した問題解決に取り組んでいる。廃棄物をごみとして処分するのではなく、未利用の資源として活用する新規リサイクルシステムの開発で、SDGs(持続可能な開発目標)時代に対応する循環経済に役立つ研究を推進している。
研究では全国的に知られる駅弁「峠の釜めし」に着目。明治創業の荻野屋が1958年に信越線横川駅で発売を開始し、これまでに約1億8千万個発売している。容器は益子焼の土釜で、釜の回収が進められているが、年間の回収率は30%程度にとどまり、使用経路不明の釜は回収後に粉砕処分されているという。
釜は成分分析で石英とムライトの結晶粒子が焼き固まってできていることが判明。釜を環境に優しいタイルとして再利用するため、メカノケミカル処理とジオポリマー化反応という技術を適用した。今回開発した技術は陶器類、耐火レンガ、瓦などにも広く適用できる可能性があり、レンガ状の建材、ブロック、パネルなど多様な製品の製造にも応用が期待されるという。










