埼玉新聞

 

夫婦衝撃…自宅で襲われる 深夜にドンドンと窓を割られ飛び起きて悲劇 襲撃したのは妻子に月20万円を送る男、懲役7年に 家族に相談せず週2万円をヤミ金に返済、困窮していた店長43歳…無職になり服役へ

  • 窓ガラスが割られているのが見つかった現場の住宅=1日午後1時ごろ、所沢市北野新町2丁目

    窓ガラスが割られているのが見つかった現場の住宅=2024年10月1日午後1時ごろ、所沢市北野新町2丁目

  • 現場近くの畑には容疑者が逃走時に通ったとみられる足跡が残っていた=1日午後1時ごろ、所沢市北野新町2丁目

    現場近くの畑には容疑者が逃走時に通ったとみられる足跡が残っていた=2024年10月1日午後1時ごろ、所沢市北野新町2丁目

  • 犯行に使用したとみられる車両=1日午後0時半ごろ、所沢市内(画像の一部を加工しています)

    犯行に使用したとみられる車両=2024年10月1日午後0時半ごろ、所沢市内(画像の一部を加工しています)

  • 窓ガラスが割られているのが見つかった現場の住宅=1日午後1時ごろ、所沢市北野新町2丁目
  • 現場近くの畑には容疑者が逃走時に通ったとみられる足跡が残っていた=1日午後1時ごろ、所沢市北野新町2丁目
  • 犯行に使用したとみられる車両=1日午後0時半ごろ、所沢市内(画像の一部を加工しています)

 所沢市の住宅で昨年10月1日、闇バイトに応募した男ら4人が押し入った強盗事件で、住居侵入と強盗致傷の罪に問われた、前橋市の無職海藤貴志被告(43)の裁判員裁判の判決公判が2日、さいたま地裁(井下田英樹裁判長)で開かれ、井下田裁判長は懲役7年(求刑・懲役9年)を被告に言い渡した。

 判決理由で井下田裁判長は、犯罪を実行するに当たり、情報収集や指示役の指示下で凶器を準備するなど、闇バイト特有の計画性の高さを指摘。強盗であることを理解した上で犯行に必要な行動をしているとして、「同種犯罪の中では中程度の事案」と判断した。

 弁護側は、海藤被告が犯行の計画や準備に加担していないと主張。「(指示役に)個人情報を知られていた怖さで犯行から抜けられなかった」と、犯行に積極的ではなかったとしていた。

 判決によると、海藤被告は共犯の男らと共謀し、昨年10月1日午前2時5分ごろ、所沢市の一戸建て住宅に侵入。住人男性=当時(85)=を刃物で切り付けるなどの暴行を加えてけがを負わせた上で、男性と妻=当時(83)=の両手首などをガムテープで縛り、現金16万円や財布などを奪うなどした。

 井下田裁判長は判決理由を読み上げた後で「今回のことを教訓として、服役した後はしっかり立ち直ってください」と説諭した。この事件では、残る実行役3人も強盗致傷などの罪で起訴されている。

■弁護士「被害男性の負傷は被告によるものではない」(以下、論告求刑公判時の記事)

 所沢市の住宅で昨年10月1日、男ら4人が押し入った強盗事件で、住居侵入と強盗致傷の罪に問われた、前橋市の無職の男(43)の裁判員裁判の論告求刑公判が28日、さいたま地裁(井下田英樹裁判長)で開かれた。検察側は闇バイトによる犯行の危険性を指摘し懲役9年を求刑。弁護側は懲役6年を求めて結審した。判決は6月2日。

 検察側は論告で、闇バイトについて、指示役が現場にいないことや見ず知らずの複数人が実行役であることで、犯行が危険なものにエスカレートしやすく、態様も大胆になりやすいなどといった特徴を説明。犯罪と知りながら主体的に犯行に関与したとした上で、「この種の事案は厳しく処罰して、警鐘を鳴らす必要性が高い」と非難した。

 一方で弁護側は、男が犯行の計画や準備に加担していないと主張。被害男性の負傷も被告によるものではないとした上で「(指示役に)個人情報を知られていた怖さで犯行から抜けられなかった」とし、犯行に積極的ではなかったとした。

 男は最終意見陳述で、「私が犯した罪は重大。罪を償う中で少しずつ自分を変える努力をしたい」と述べた。

■職場にも相談せず「自分でどうにかする」(以下、初公判時の記事)

 所沢市の住宅で昨年10月、男ら4人が押し入った強盗事件で、住居侵入と強盗致傷の罪に問われた、前橋市の無職の男(43)の裁判員裁判の初公判が26日、さいたま地裁(井下田英樹裁判長)で開かれた。男は「(間違いは)ありません」と起訴内容を認めた。判決は6月2日。

 検察側は冒頭陳述で、男が交流サイト(SNS)で闇バイトに応募し、指示役からは、債務者から金品を回収する仕事と知らされ犯行に加担したと述べた。

 弁護側は、妻子を残し単身赴任で飲食店の店長として働き、毎月20万円ほどの仕送りをしていたが、「仕事が減ったため借金していた」と説明。物を運ぶ仕事といった当初の内容とは異なる犯行だと途中で知らされたが、「個人情報などを知られていた怖さで抜けられなかった」と主張した。

 男は被告人質問で、「家に送金する金がなく、ヤミ金へ週に2万円の利息返済があった」として、苦しい経済状況だったにもかかわらず、職場や家族にも相談せずに「自分でどうにかする方向で考えてしまった」と振り返り、「指示役から怒鳴られ続けて、やめようと思えなかった」とした。

 起訴状などによると、男は共犯の男らと共謀し、昨年10月1日午前2時5分ごろ、所沢市の一戸建て住宅に侵入。住人男性(85)を刃物で切り付けるなどの暴行を加えてけがを負わせた上で、男性と妻(83)の両手首などをガムテープで縛り、現金16万円や財布などを強取したとされる。

■夫婦は1階で就寝中だった(以下、逮捕記事)

 2024年10月1日午前2時5分ごろ、所沢市北野新町2丁目の一戸建て住宅に複数の男らが侵入し、住人の高齢夫婦2人を粘着テープのようなもので縛りけがを負わせ、現金などを奪う強盗致傷事件が発生した。所沢署は現場から逃走した男3人を強盗致傷などの疑いで逮捕した。他にも逃走した人物がいるとみて行方を追っている。

 逮捕されたのは、いずれも自称で、住居職業不詳の43歳男、24歳男、28歳男の3容疑者。

 捜査関係者によると、犯行に使われたとされる車のうち2台は、9月30日に東京都国分寺市で発生した強盗致傷事件で使われた車両と同一とみられ、警視庁などは2事件の関連を捜査している。同28日に東京都練馬区の住宅で起きた強盗致傷事件との関連も調べている。

 逮捕容疑は氏名不詳の者と共謀し、同日午前2時5分ごろ、勝手口の窓を割って家屋内に侵入。住宅に住む男性(85)と妻(83)に対して「お金早くしろ」などと脅迫し、粘着テープのようなもので緊縛した上で刃物で切り付けて現金約8万円を奪った疑い。男性と妻は腕に切り傷を負ったが、命に別条はないという。

 同署によると、男らは少なくとも4人で、車を使って現場周辺まで向かい犯行に及んでいた。勝手口の窓ガラスがドンドンと割れる音を聞き、1階で就寝中だった夫婦が目覚めて「若い男数人が家のドアをたたいて入ってきた」と110番。現場に駆け付けた警察官が逃走する男らを発見し、3人を逮捕した。現場付近の畑からは刃物のようなものが発見された。

 捜査関係者によると、逮捕された男の1人は犯行を認めており、秘匿性の高いアプリで仕事を受けた旨の供述をしているという。匿名・流動型犯罪グループによる犯行の可能性も視野に捜査している。

 現場住宅から数百メートル離れたコンビニエンスストアの駐車場には、男らが使用していたとみられる福岡県ナンバーの乗用車と群馬県ナンバーの軽乗用車が確認された。

 県内では9月18日、さいたま市西区の一戸建て住宅に複数の男が侵入し、家人を緊縛するなどしてけがを負わせた強盗致傷事件が発生している。
 

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