埼玉新聞

 

細菌類の繁殖状況を“見える化” 食中毒が起これば、ネガティブなイメージ浸透→信頼回復や再発防止に莫大な時間と費用 「普段の予防対策が極めて重要」 飲食店などの衛生管理、導入支援 埼玉・鴻巣のアートクリーン

  • デモ検査で手順を説明する上原社長。細菌が検出されるとパソコンの黒い画面上に白い斑点で表示される=鴻巣市のアートクリーン本社

    デモ検査で手順を説明する上原社長。細菌が検出されるとパソコンの黒い画面上に白い斑点で表示される=鴻巣市のアートクリーン本社

  • デモ検査で手順を説明する上原社長。細菌が検出されるとパソコンの黒い画面上に白い斑点で表示される=鴻巣市のアートクリーン本社

 県内を中心に住宅や店舗の改装や清掃を手がけるアートクリーン(鴻巣市、上原謙一社長)は、食品の安全性を確保する国際的な衛生管理基準「HACCP(ハサップ)」の飲食店や福祉施設への導入支援に乗り出した。計画策定から設備、清掃や研修まで一連の業務プロセスをパッケージ化することで、微生物や農薬による食品汚染や金属片など異物混入の危害要因除去に努めていく。ハウスクリーニング業者がハサップの導入支援に取り組むのは極めて珍しいという。

■細菌の繁殖を見える化

 近年、大手外食チェーンの商品に害虫(獣)などの混入が相次ぎ、厨房(ちゅうぼう)の衛生管理に世間の注目が集まった。食品衛生法の改正で2021年6月から原則的に全食品等事業者にハサップの導入が義務付けられたが、人手不足などで手が回らない事業者が多数存在するという。

 細菌の測定にはわずか5分程度で結果が出る特殊な機器「バクテスター」を使用。検査員が店舗フロアや製造ライン、ドアノブやトイレ、スタッフの手指(爪)などを綿棒で拭き取り、検体を採取する。

 パソコンの画面上で細菌類の繁殖状況を“見える化”し、細菌数が多い箇所はその場で改善指導。同社では「定期的に第三者(外部)の目を入れることで新たな気付きを得られ、組織体制の改善につながる」とメリットを強調する。

 一度、食中毒が起これば交流サイト(SNS)などで拡散され、ネガティブなイメージが浸透してしまう。仮に営業停止処分を受けてしまうと、その間の売り上げがゼロになるだけではなく、顧客からの信頼回復や再発防止に莫大(ばくだい)な時間と費用がかかるため、上原社長は「普段の予防対策が極めて重要」と訴える。

■現場で機能する対策を

 同社は日常の管理体制強化に加えて、検査機器レンタルなど設備の導入支援にも注力。単なる書類作成にとどまらず、保健所や行政の指導内容に即した「現場で機能するハサップ」を目指す。厨房の動線整理や清掃手順の仕組み化、スタッフ教育に至るまで一貫指導し、計画策定や日々の記録などは顧客ごとにカスタマイズし利便性を追求。従業員が誰でもスマホなどで確認できるようクラウド上で一元管理する。

 現在、鴻巣市や熊谷市など県北地域の個人飲食店を中心に約10店舗でサービスを導入。今後は教育現場や学校給食事業者との連携も視野に入れる。上原社長は「地域の食を守る安心安全の伴走者として地域経済の持続可能性向上にも貢献したい。まずは気軽に相談を」と呼びかけた。

 問い合わせは、同社フリーダイヤル(電話0120・406・364)へ。

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