埼玉新聞

 

「子育てに自信がない」…埼玉・戸田の乳児殺害で母親逮捕 市は新生児訪問や担当保健師が継続的にサポート 事件当日には母親から児童相談所に電話 児相「最善のことは尽くしたが、今後対応については検証する必要」

  • 戸田駅の位置

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 生後4カ月の長男を殺害した容疑で30代の市内女性が逮捕された事件を受け、埼玉県戸田市の菅原文仁市長は8日、記者団に「痛ましい事案が発生したことに胸が締め付けられる思い」と悲痛な思いを吐露した。

 女性は長男を殺害した疑いで7日、蕨署に殺人容疑で逮捕されており、同署の調べに「産後うつがつらかった」などと供述していたという。女性は4月21日、置き手紙を残して外出。出勤する際に引き留めるなど、様子がおかしかったことを気にした夫が帰宅して手紙を見つけ、警察に届け出た。その後、女性はJR戸田駅構内で心肺停止状態の長男を抱えているところを警察官によって発見されている。

 市親子健やか室担当者によると、女性は産後1カ月検診を医療機関で受け、3月中旬には市が新生児訪問を実施。その後も担当保健師が継続的にサポートしていたが、今回の事件につながるような兆候はなかったという。

 菅原市長は「一人で子育てをし、孤独感を感じる方もいるかもしれない。相談に躊躇(ちゅうちょ)しないでほしい。市は必要な支援を届けられる体制を組んでいる。何か不安を感じたら、すぐに連絡してほしい」と呼びかけた。

 ◇

 戸田市管轄の県南児童相談所によると、事件当日の21日午前9時半ごろ、女性から「子育てに自信がない」と相談の電話があったという。電話の途中で「子どもが泣いているので」と電話を切られたが、同日昼過ぎに女性に電話をかけると、落ち着いて受け答えができる状態で、22日に職員と直接会う約束をしていた。

 児相は「最善のことは尽くしたが、今後対応については検証する必要がある」としている。

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