3歳の娘死亡…運転ミスの車が突進、妻も息を引き取る 幸せだった夫が絶望、妻子の後を追おうとした時「死なないで」と2人の声が 後悔した運転手は死亡 娘の温かかった手は硬くてずたずた、握った夫の思い
2025/04/29/16:44
高齢者による暴走事故で妻と娘を失った松永拓也さん(38)が4月24日、埼玉県立草加東高校(草加市柿木町、佐藤智明校長)で講演した。松永さんは講演で生前、真菜さん、莉子さんと家族で幸せな生活を送っていた思い出を振り返った。「2人は私の隣で生きていて、幸せはずっと続くと思っていた」と語り、交通安全や命の大切さを呼びかけた。
2019年4月、東京・池袋の交差点事故で松永さんの妻真菜さん=当時(31)=と娘莉子さん=当時(3)=が犠牲になった。車を運転しアクセルとブレーキを踏み間違え事故を起こしたとされる当時87歳の男性元受刑者は、昨年10月、収監中に死亡した。
事故直後、ズタズタで硬くなった莉子さんの手を握った。生まれた時には小さく温かかった手との差に松永さんは打ちひしがれた。当時の思いについて「尊い命が終わってしまった。現実を突きつけられ絶望した」と語った。
松永さんは、2人の後を追いマンションの屋上から飛び降りようとしたが、思いとどまったという。「2人の声がして『死なないで』と言われたような気がした」
2人の死を無駄にしないよう、現実や苦しみを伝えようと「関東交通犯罪遺族の会あいの会」の活動に参加。「同じような過ちが起きないよう、社会全体で考えることが大切」と呼びかけている。
松永さんは「加害者の言葉を知りたい」と心情等伝達制度を通じて、昨年、生前の男性元受刑者と面会した。男性元受刑者が事故を後悔していたことを改めて知り「加害者も一生逃れられない十字架を背負うことになる」と述べた。
松永さんは「すべての命は尊い。ただいま、お帰りと言い合える社会になってほしい。時間に余裕をもって行動するなど、小さい事でも何をすればよいか考えることが大切」と思いを伝えた。










