埼玉新聞

 

地下鉄7号線延伸…年度内に事業実施要請へ さいたま市と埼玉県 計画素案も作成 鍵は中間駅のまちづくり 市長「延伸実現へ重要な年度に」

  • 地下鉄7号線の延伸構想

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 地下鉄7号線(埼玉高速鉄道)の浦和美園駅から東武野田線岩槻駅への延伸計画の早期事業着手に向け、大野元裕知事と清水勇人さいたま市長が8日、県庁で意見交換を行い、清水市長は「2025年度内の事業実施要請を目指すとともに、県・市の連携を示すために事業実施要請は連名で行いたい旨をお伝えし、大野知事からも賛同いただいた」と表明した。

 さいたま市は今年2月、鉄道事業者への事業要請に向け、2025年度中に計画素案を作成する方針を市議会に説明。その上で鉄道事業者への事業要請の時期は「まだ未確定」としつつ、「関係者と協議し、進めていきたい」と意欲をにじませていた。

 8日の知事と市長の意見交換は冒頭を除いて非公開で行われ、終了後、取材に応じた清水市長は「本年度は延伸の実現に向けた非常に重要な年度になる。中間駅のまちづくりについて夏までに有識者会議を立ち上げ、具体化を進めるとともに、検討を進めていくため、県にも協力をお願いした。できる限り早期の延伸実現を目指して全力を尽くす」と意気込みを口にした。

 大野知事は自身の公約であることにも触れ、「清水市長から本年度内に要請を行うという表明を頂き、その熱意が極めて大きなものであった。多面的な形で協力し、地域の方々のご意見を頂くことが今後につながる」と理解を示し、費用負担については「現時点で何も申し上げていないが、われわれも要請の主体になることは、意味があるとご理解いただいて結構だと思う」と述べた。

 地下鉄7号線の延伸計画を巡っては、県やさいたま市などが3月に設置した連携会議の中で、現時点で概算事業費約1390億円、工期14年、国の補助を受ける目安になる費用便益比が、中間駅まちづくりの定住人口規模などの条件で1・0~1・2になる試算が、24年度の検討結果が報告されている。費用便益比が「1」以上になる見通しが立ったことで、計画素案作成の流れが加速した。

 清水市長は「岩槻区、さいたま市全体の発展にとって大変重要な役割を果たすのが、中間駅のまちづくりであると認識している。民間の需要なども十分に意識した形で現実感のあるまちづくりを進めていきたい」と話した。 

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