埼玉新聞

 

恐怖32時間…女性人質、男に懲役20年 弁護士「男が自殺図った時、監禁解かれた」裁判長が否定「当然」

  • ビルから出てきた男をブルーシートで囲む捜査員ら=2021年6月18日午後10時48分ごろ、さいたま市大宮区

 昨年6月、さいたま市大宮区のインターネットカフェ店の個室で20代女性従業員を人質にして立てこもり、けがをさせたなどとして、逮捕監禁致傷などの罪に問われた、住居不定無職林一貴被告(41)の判決公判が20日、さいたま地裁(佐々木一夫裁判長)で開かれ、佐々木裁判長は求刑通り、懲役20年を言い渡した。

 判決理由で佐々木裁判長は、「被害女性を被告人に殺されるかもしれないという極度の恐怖と絶望感に長時間にわたってさらした極めて悪質な犯行」と指摘した。

 被害女性の証言内容について、「いきなり被害を受けたもので虚偽の証言をする動機も全く見当たらない」と説明。「暴行に関する証言は負傷状況と一致している」とし、信頼できるものだとした。

 一方で、「自らの主張のために立てこもりを行った」などと、被害女性とは異なる証言を行った林被告については、「公判供述は信ぴょう性に乏しい」とした。被告人が自殺を図った時点で監禁状態が解消されたなどとする弁護側の主張は、「抵抗されれば殺されると思って抵抗できない状態にあったというのは当然のことであって、救出されるまでに個室から逃げ出そうとしなくても不合理ではない」と否定した。

 公判中における林被告の供述内容や態度などから「反省は認められない」とし、現時点では「再犯に及ぶ可能性が高いと言わざるを得ない」と述べた。

 判決によると、林被告は昨年6月17日、さいたま市大宮区のインターネットカフェ店に来店。「テレビがつかないから、ちょっと見てもらってもいいですか」などとうそを言って女性従業員を個室内に誘い入れ、同午後2時23分ごろから約32時間にわたり監禁するなどし、首や顔などに2週間のけがを負わせた。

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