埼玉新聞

 

埼玉の都市が財政危機に 財政調整基金残高わずか4億円、適正規模の5分の1  飯能市長「危機的な財政状況」 災害発生時に対応できなくなる恐れ 人件費削減など緊急財政対策へ

  • 【地図】飯能市(背景白)

    飯能市の位置

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 埼玉県飯能市は7日、新年度予算編成で前年度から約40億円増の予算要求があり、財政状況が危機的であるとして、2025年度から緊急財政対策を実施すると発表した。歳入確保、歳出抑制に取り組み、財政調整基金の残高を約4億円(25年度末見込み)から、26年度末までに20億円以上とすることを目指す。

 市によると、24年度の一般会計予算は304億5千万円。高齢化や少子化対策の拡充による社会保障関係の経費や、公共施設の維持管理の経費などが増大し、25年度予算は約344億円の要求があった。要求に対し、公共施設整備事業の先送りなどの調整を行い、新年度予算案は318億5千万円となった。

 25年度末の財政調整基金残高は約4億円となる見込みで、適正とされる標準財政規模の約1割に当たる20億円を大きく下回る見込み。市財政課は「財政調整基金が少ないと、自然災害が発生した時に対応できなくなる恐れがある」と話す。

 緊急財政対策では25年度から、市長を本部長とした緊急財政対策本部や、職員によるプロジェクトチーム、学識者による審議会を設置。職員数の適正化による人件費の削減、市単独事業の廃止や休止、公共施設の在り方の見直し、自主財源の確保などに取り組む予定。

 新井重治市長は同日の定例会見で「危機的な状態からいち早く脱却し、将来にわたり持続可能な行財政運営を確立するため、全庁を挙げて取り組む」と説明した。

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