埼玉新聞

 

秩父シバザクラ開花進む羊山公園、待望の3年ぶり「特産市」充実 5月5日まで開催 連日大盛況GWに期待

  • 観光客でにぎわいを見せる「秩父路の特産市」=16日午前、秩父市大宮の羊山公園

 秩父市大宮の羊山公園「芝桜の丘」でシバザクラの開花が進み、15日から有料期間が始まっている。コロナ禍の影響で今年も昨年同様に、規模を縮小しての開催となったが、園内の「秩父路の特産市」は3年ぶりに営業を再開、感染防止を徹底しながら観光客を迎え入れている。出店を待ち望んでいた地元の飲食店経営者は「コロナ禍で落ち込んでいる店の売り上げを少しでも取り戻したい」と意気込んでいる。

 「いらっしゃーい。秩父の名品がそろってますよ」。開園後、初の週末を迎えた16日、芝桜の丘の隣接広場には威勢のいい声が響き渡った。特産市は5月5日までの期間、午前8時から午後5時に毎日開催。地元の特産品を利用した食事や土産などを販売している。

 例年は40店舗以上の出店が所狭しと並ぶが、今年は秩父地域の飲食事業者ら計19店が、ブースの間隔を空けて営業。利用客の長時間滞在を避けるため、椅子を設置せず、テーブルで、立って食事をしてもらうスタイルに変えた。

 「例年通りとはいかないが、少しずつでも活気を取り戻し、来年以降の開催に弾みをつけたい」。5年前から特産市に参加し、鹿やイノシシの天然ジビエ料理などを販売している福島剛さん(42)はしみじみと語る。

 園内は約1万7600平方メートルの敷地に40万株以上のシバザクラが咲き誇る、秩父の春を代表する観光名所。開花がピークを迎えるゴールデンウイーク期間中には毎年、県内外から30万人以上の来場者が訪れる。開花期間に合わせて開く特産市も多くの観光客が利用し、連日大盛況となる。

 コロナ禍の影響で、2020年は芝桜の丘の入場を禁止にした。21年は特産市などイベント各種を中止にし、小規模で開催したが、同年4月16日~5月5日の園内の観光客数は、19年度比60・8%減の17万3650人と大幅に落ち込んだ。

 「観光客の減少で、秩父地域の多くの店は、今でも厳しい運営が続いている。野外イベントに参加し、少しでも売り上げを取り戻したいと考える経営者は多い」と福島さんは説明する。

 自身が経営する郷土料理店「じんじんばあ」(秩父市番場町)も2年以上、客足が遠のいてしまっている。福島さんは「コロナ禍でも特産市が開けるのはありがたいこと。地域外の人に秩父の味を広めて、経営を回復させたい」と力を込める。

 今回が初出店となる、居酒屋「魔法つかい」(同市上宮地町)の店主堀田真吾さん(35)は、秩父名物の豚みそ丼を販売。「2年前から出店を希望していたが、今回、ようやく念願がかなった。秩父の観光を盛り上げて、みんなでコロナ禍を乗り切る」と語った。

 串焼きを味わっていた所沢市の60代男性は「毎年、シバザクラを楽しみに来るが、やはり特産市がないと物足りない気分になる。久しぶりに充実した観光になった」と満足そうだった。

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