埼玉新聞

 

びっくり…アライグマ被害、埼玉・越谷で急増 無自覚な餌付けやめて 少しずつかじられ農作物全滅

  • アライグマの剥製を展示し、無自覚な餌付けに注意を呼び掛ける越谷市職員=14日、越谷市

  • 箱わなに掛かったアライグマ=越谷市(提供写真)

 急増するアライグマなどの害獣被害を抑え込むため、越谷市は14日から1週間、野生生物の餌となる作物や生ごみを屋外に放置しないよう呼び掛ける「無自覚な餌付けストップ・キャンペーン」を始めた。市は広報紙やホームページ上で、木に実った果物を落として処分したり、生ごみを新聞紙などで包み捨てたりするよう住民に求めている。

 アライグマは外国原産で日本では生態系などへの影響が懸念される特定外来生物に指定されている。越谷市では2009年ごろから捕獲されはじめ、昨年度の捕獲頭数は77頭。全県の昨年度の捕獲頭数(狩猟除く)8080頭(前年度比900頭増)に比べると規模は小さいが、2年間で2倍以上に急増したことから、対策を急いでいる。

 県のアライグマ防除実施計画によると、アライグマは水辺を餌場とし両生類や虫類など水辺の生態系への影響が懸念されている。雑食で繁殖力が強く、農作物被害や家屋への侵入、汚染も発生している。越谷市内ではペットとして飼育されていたカメが食いちぎられる被害が起きており、アライグマの関与が疑われている。

■1年で10頭捕獲も

 10年ほど前から箱わなでアライグマを捕獲している会社員の60代の女性は「1年で10頭捕獲することがある」と近年の増加に懸念を示す。

 アライグマとの因縁は深い。最初に被害に遭ったのは自家栽培していたトウモロコシだ。「一本だけやられたなら『残念』で済むが、少しずつかじられて全滅した」。越谷市の特産品の一つで縁起物として親しまれるクワイも被害を免れなかった。「種から大切に育てていたのに、収穫間際になって荒らされた。アライグマの仕業」と憤る。

 女性はわなを置く位置に細心の注意を払う。指が長く特徴的なアライグマの足跡を発見すると、足跡が向かう先の直線上から少しずれたところに置く。足跡が鮮明になる雨上がりにはよく捕れる。経験を積むうちに、旅先でも目ざとく足跡を見つけ「(この地域にはアライグマが)いる」と直感できるようにまでなったという。女性は「みんなで気を付けることが大事」と越谷市のキャンペーンに賛同する。

■かわいいイメージ

 啓発活動に合わせて市は庁舎入り口にアライグマなどの剥製を展示している。市民の男性(41)は「アニメでかわいいイメージがあった。越谷にもいるとはびっくり」と剥製の写真を撮影。パート従業員の女性(53)は「栽培していたスイカが食べられていたことがあったが、アライグマだったのかも」と首をかしげ、「危ないから近づかないようにしようね」と孫に語り掛けていた。

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