埼玉新聞

 

【独自】大河・青天を衝けは人生の転機 吉沢亮さんがドキュメンタリー写真集、渋沢演じた1年半を記録

  • ドキュメンタリー写真集「青天の栄一」を発売する俳優の吉沢亮さん(sai撮影)

  • 大河ドラマ「青天を衝け」で主役の渋沢栄一役を演じた吉沢亮さん(sai撮影)

 俳優の吉沢亮さんは2月14日、自身初のドキュメンタリー写真集「青天の栄一」(ワニブックス)を出版する。写真集では、21年放送の大河ドラマ「青天を衝け」(NHK)で、主演の渋沢栄一役を演じ続けた約1年半を記録。「『青天を衝け』は人生の転機。栄一役を全力で駆け抜けたことは、大きな自信になった」と語る吉沢さんに、作品への思いや埼玉県民に向けたメッセージなどを聞いた。(森本勝利)

―昨年末、大河ドラマ「青天を衝け」全41回の放送が終了しました。振り返っての率直な思いを教えてください。

 新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される状況で、まずは無事に完走することができて、ほっとしたのが正直な感想です。時代の大渦に翻弄されながらも「全力で走り続ける(渋沢)栄一」の姿を演じることができたのも、応援してくださった多くの視聴者の皆様のおかげです。改めて感謝の気持ちでいっぱいです。

 「青天を衝け」は、大河ドラマとしての魅力はもちろん、私たちが生きる現在の生活と地続きになっているような、身近に感じていただける作品だったと思います。自分の人生と照らし合わせたり、栄一の力強い生き方に感動したというお言葉を頂戴するなど、本当に貴重な経験をさせていただきました。

―吉沢さんにとって「青天を衝け」という作品は、どのような存在になりましたか。

 この作品に出演する中で、楽しい思いも悔しい思いも味わいました。「自分の人生で一番の転機はいつですか」と聞かれたら、間違いなく「『青天を衝け』です」と答え続けると思います。

 約1年半にわたり、渋沢栄一役と向き合い、役柄を作り上げていくことは、充実した日々だった半面、共演した先輩方の素晴らしい演技を見て、もっと上手く演じることができたのではと、常に自問自答をくり返していました。それでも栄一の成長が、自分自身の成長とリンクしている部分もあったりしながら、全力で栄一役を走り切れたことは、自分の役者人生にとって大きな財産となりました。

―渋沢栄一役を演じた中で感じた魅力や人物像を教えてください。

 恐れを知らず何事にも挑み続ける栄一の情熱は、演じていても尊敬する場面が多かったです。またどんな困難にも、心のどこかで楽しみながら立ち向かっていく精神は、栄一の人間味が溢れているなと感じました。

 同時に「お金との向き合い方」も教えてくれた人物だと思います。人がどういう思いでお金を稼いでいるのか。そのお金をどう使えば社会をより良くできるのか。道徳と合理的な考え方の両方を持ち合わせることが重要だと説いてくれた気がします。(2024年度発行の)新一万円札の顔にもなるので、栄一の肖像画を見た時に、お金の大切さを思い出してくれたら嬉しいです。

―「青天を衝け」での経験を通じて、感じた気づきなどはありましたか。

 長い時間をかけて渋沢栄一というひとりの人物を演じたことは、難しい側面もありましたが、大きな自信にもつながりました。確実に役者としての基礎的な部分を鍛え直してもらった気がしています。

―写真集「青天の栄一」のPRポイントを教えてください。

 撮影初日からクランクアップまで、約1か月おきに撮影していただいたドキュメンタリー作品に仕上がっています。自分自身の成長過程はもちろん、演じた渋沢栄一の激動の生涯も味わうことができると思うので、「青天を衝け」ファンの方々にはぜひご覧いただきたいです。

 実際に写真を見たのですが、最初の頃と比べて自分でも分かるぐらい顔つきが変わっていました。凛々しくなったというか、男らしくなった気がします。また節目ごとにインタビューもしていただいたので、当時の心境なども赤裸々に語らせていただきました。

―渋沢栄一の故郷・深谷市、そして埼玉県は、吉沢さんにとってどのような場所になりましたか。

 栄一の故郷・深谷市には、イベントなどを含めて何度か足を運ばせていただきました。旧渋沢邸「中の家」や渋沢栄一記念館などの関連施設を巡らせていただき、地域の方々からの「渋沢栄一愛」の深さを感じました。今度は「血洗島獅子舞」を、ぜひ見学に行きたいです。

 深谷市を中心に埼玉県全体で「青天を衝け」を盛り上げていただき、すごく心強かったです。「この方々のためにも全力で演じ切らなきゃ」と身の引き締まる思いになりましたし、自分自身を突き動かす原動力にもなりました。  

―最後に、埼玉県民・新聞読者にメッセージをお願いします。

 まずは約一年間にわたり、大河ドラマ「青天を衝け」を応援していただき、本当にありがとうございました。この作品は大河ドラマ第60作目の節目にあたり、2021年は「埼玉県誕生150周年」を迎えられたということで、どこか不思議な縁を感じています。

 栄一が生まれ育った深谷・血洗島は広大な土地で、そこに暮らす方々の心の温かさに触れ、まっすぐに成長したからこそ、作品で演じさせていただいたような素晴らしい活躍があったのだと思います。また埼玉に行ける機会がありますことを、心から楽しみにしています。

―ありがとうございました。

■吉沢亮(よしざわ・りょう)

 1994年生まれ。東京都出身。2009年、「アミューズ全国オーディション2009」で審査員特別賞を受賞、芸能界デビュー。2019年公開の映画「キングダム」で、日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞。その他主な出演作に、映画「銀魂」シリーズ、「リバーズ・エッジ」、「東京リベンジャーズ」など。大河ドラマは「青天を衝け」が初出演で、主演の渋沢栄一役を見事に演じ切った。

■吉沢亮 写真集『青天の栄一』※

発売日:2022年2月14日(月) 価格:2,860円(税込) 撮影:sai 発行:株式会社ワニブックス

(埼玉新聞2月13日付「俳優・吉沢亮さんドキュメンタリー写真集『青天の栄一』特集」から抜粋)

=埼玉新聞WEB版=

※写真の漢字は旧字体

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