埼玉新聞

 

<新型コロナ>出勤できない…子ども感染、濃厚接触で保育士足りず 感染急拡大で保育現場、危機的状況に

  • 保育士らは子どもたちの利用する玩具を消毒するなど、感染防止対策を徹底している=さいたま市南区のいちご南保育園

 新型コロナウイルスのオミクロン株の感染急拡大による影響が、保育現場に及んでいる。さいたま市内の保育施設は100以上が休園。感染拡大のため出勤できない保育士らが増え、市は27日から全ての保育施設などの利用者に登園自粛を要請した。市内で保育園など7施設を運営している社会福祉法人「なないろ会」(同市南区)理事長の三須亜由美さんは「感染拡大の影響は大きく、保育士が足りない危機的状況」と語る。

 三須さんによると、今年に入り子どもの感染による学級閉鎖や濃厚接触になるケースが相次ぎ、自宅待機のため出勤できない母親の保育士が増加。施設の一つでは、保育士ら34人のうち最多7人が一時出勤できなくなった。保育士が足りないため、3~5歳を合同保育にして、0~2歳のクラスに割り当てて乗り切った。三須さんは「安心安全な保育を実現するために、保育園にとって保育士がいないのは死活問題」と話す。

 系列の保育施設に子どもを預けている保護者は、行政機関や医療関係、福祉施設関係に勤務する人も多く、エッセンシャルワーカーへの影響は大きい。三須さんは「できるだけ預かってあげたいけれど、休園になるとシャットアウトになる」ため、可能な人には家庭保育を要請してきた。

 さいたま市の基準では、保育施設内に園児や職員のうち1人でも感染者が出れば、休園となる。市保育課によると、28日時点で認可外を除く455保育施設のうち、117施設が休園している。第5波の最多だった昨年8月23日の32施設の3倍を超えた。

 コロナ禍の2年、なないろ会では感染防止対策に十分注意を払ってきた。子どもたちの健康状態のチェックは、時間をかけて行っている。壁、窓、床、トイレ、子どもが口に入れてしまうかもしれない玩具など園内の消毒を徹底。お昼寝の時間や子どもたちが退所後に作業を繰り返した。

 それでも今回の感染状況は様相が違っていた。なないろ会の運営施設でも感染者が出たため、27日から2施設を休園措置に。市の要請に従って残りの施設の利用者に登園自粛を求めた。一つの施設は要請初日の27日、約4分の1の12人が休んだ。在宅勤務で家庭保育に切り替える保護者もいるが、仕事を休めずに子どもを預ける人は多いという。

 28日には市保健所の業務逼迫(ひっぱく)を受け、濃厚接触の疑いがあるかの調査を保育施設が実施することになった。三須さんは「保健所も大変だと思うので、担当の保育課とやりとりをしながら、園のスムーズな運営ができるようにしたい」と話していた。

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